単電源のヘッドホンアンプ

Spread the love

これまで、オペアンプを使ったヘッドホンアンプを作ってきました。そして、その派生として、オペアンプの出力を補う目的でトランジスタで構成した電力増幅段を付加したヘッドホンアンプを作りました。しかし、これらのヘッドホンアンプには大きな欠点がありました。それは電源です。

バッテリーや電源装置から引き入れた電源を分圧して、プラス側とマイナス側の二つの電源を作り、この二つの電源を使ってアンプを動かしていました。入出力はアンバランス型ですので、グランドが基準となります。また、このグランドは入出力機器のグランドと共通になっています。しかし、ヘッドホンアンプのグランド電位は、電源電圧の丁度半分の電圧になっています。例えば電源電圧が12Vだったらグランドは6Vの電位になります。

入力機器とヘッドホンアンプを同一電源で動作させた場合、ヘッドホンアンプと入力機器に電位差が生じます。そのままつないでしまうと、恐らく入力機器かヘッドホンアンプ、またはその両方が異常電流で焼け焦げることになるでしょう。

そこで、グランドが0Vになるように単一電源で動作するヘッドホンアンプを作ることにしました。これが上手くいけばMP3再生モジュールとヘッドホンアンプを同じ箱の中に入れて、一つの電源で動作させることができるはずです。

ということで、見よう見まねでひとまず設計をしてみました。プリ部はトランジスタ一個の自己バイアス回路としました。電力増幅部はプッシュプル構成としました。それぞれのセクション間の電圧差によって発生する電流を遮断するために、カップリングキャパシタを置いています。キャパシタはあまり使用したくなかったのですが、仕方がありません。恐らく入力部分のキャパシタは省略できると思いますが、その判断は実際に回路を組んでから行いたいと思います。

回路図上では電力増幅部にBC337とBC327を使用していますが、もう少し出力が取れそうなSS8050とSS8550のペアも試してみようと思います。モバイルバッテリーから電源を取ることを考慮して、電源電圧5Vで設計してみましたが、出力は100mWほどしか取れそうにありません。イヤホンならば十分鳴らせると思いますが、ヘッドホンはちょっと厳しいかも知れません。

プリ部の帰還抵抗を大きくすれば出力はそこそこ取れるのですが、歪みが大きくなるというシミュレーションの結果が出ました。負帰還が弱くなりますので当然の結果なのですが、何とかならないものかと思い、電力増幅部をインバーテッドダーリントン構成にすることも考えてみたのですが、貫通電流がかなり出ることが分かり、断念しました。通常のダーリントンですとオフセットを大きく取らなければならず、片側2.5Vのうち1.3V程がオフセットに消えることになります。電源電圧5V動作ではちょっと厳しいです。

ということで、出力は犠牲にしてオーソドックスな回路で仮組したいと思います。

2件のピンバック

コメントは現在停止中です。