マネーモンスター中華帝国の崩壊

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藤井厳喜著『マネーモンスター中華帝国の崩壊』です。出版は2022年5月13日となっています。恐らく、講演で語られたものを書き起こしたものではないでしょうか。言い間違えがそのまま文字となっている箇所がありました。

中国ではなくチャイナ

この本では中国ではなくチャイナと記しています。その理由は明確です。まず、中国は中華民国の略称でもあります。また、中国には南モンゴル、東トルキスタン、チベットも含むと解釈されます。さらに、中国は世界の中心という意味合いのある敬称の性格もあります。これらを避ける目的でチャイナと表記しています。

ミンスキーモーメント

本書では、ミンスキーモーメントの考え方を以て、既にチャイナバブルは崩壊しているとしています。ミンスキーモーメントとは一つの考え方です。株価のピーク、不動産価格のピークから遅れてバブル崩壊が起きるとしています。

株価や不動産価格が下落することで、担保価値が下がります。そして、その結果として融資の引き上げ(貸しはがし)が起きます。融資の引き上げが行われれば返済が出来ずに企業は倒産します。これが所謂バブル崩壊です。

本書では日本やアメリカのバブル崩壊を例にメカニズムを解説しています。日本の場合は、不動産価格の上昇を抑えるためにBIS規制を行いました。この結果、多くの企業が融資を引き揚げられ、その結果倒産しました。そして、日本経済は現在も続く冬の時代となりました。そして、アメリカの場合は、住宅価格が暴落した結果、住宅ローンの貸しはがしが行われました。その結果はご存じのとおりです。

つまり、株価と不動産価格のピークに遅れて、融資残高の縮小=バブルの崩壊がやってくるわけです。

チャイナのバブル崩壊は

チャイナの場合も日本と酷似した状況です。中国人民銀行(チャイナの中央銀行)が債務過剰となっている企業に対する融資の制限を指示しました。そして、その標的となったのが恒大集団だったわけです。

チャイナバブルの崩壊の裏側

しかし、このチャイナのバブル崩壊には、習近平国家主席の覇権が絡んでいました。恒大集団のトップ、許家印は共産主義青年団=上海閥の人脈でした。そして、習近平の前の国家主席、胡錦涛も共産主義青年団の出身です。さらに、昨年まで首相を務めた李克強も上海閥でした。

つまり、人事面から見ると、チャイナバブルの崩壊は上海閥外しの狼煙だったのです。

昨年10月の事件の意味が分かった

昨年(2022年)10月にある映像が報道されました。それはチャイナ全人代での一幕です。決議の直前、習近平の隣に座る胡錦涛前国家主席が半ば無理やりに退席させられたのです。この本が出版されたのは2022年5月ですから、胡錦涛退席の5か月まえです。しかし、この本が書かれたとき、この事態は予測されていたわけです。つまり上海閥外しです。ちなみに、李克強も辞任が決まっています。これで習近平体制は盤石となりました。そして、二期10年と決まっていた国家主席の任期も撤廃しました。

トランプ氏の100日プランを反故にした習近平の次の一手は?

トランプ前アメリカ大統領は、自身の別荘に習近平を招きました。そして、アメリカの対中貿易赤字削減策を習近平に作らせます。いわゆる100日プランです。つまり、100日で結果を出せと迫ったわけです。習近平はプランは出したものの、何もしませんでした。これで米中の対立が決まったわけです。アメリカは、中国からの輸入品に対し追加の関税を課しました。そして、中国も報復的関税でこれに応じました。

アメリカ大統領が親中派のバイデン氏に代わったことで、習近平は胸をなでおろしたでしょう。バイデン氏もチャイナの脱炭素を支援する目的で、経済支援を決めました。

トランプが敷いたレール

しかし、トランプ前大統領時代、アメリカ議会は香港自由法、HUAWEI禁止法、人権弾圧を行う国に対する経済制裁を可能とする法律が策定されました。親中派であるバイデン大統領もこれには従うしかありません。アメリカは台湾有事に備え、台湾への武器売却を進めています。また、これには日本も集団的自衛権を使って台湾をバックアップできる体制を作りました。

国民の不満を外に向けるための軍事行動

北朝鮮が頻繁に行うミサイル発射は国民に対し、敵は外にあるという目くらまし行動です。つまり、国家経営がままならず、鬱積した国民の不満を外に向けさせる行動がミサイル発射です。そして、中国も同じく経済が破綻し、国民の不満が鬱積しています。そこで、これを外に向けさせるために尖閣諸島に軍艦を派遣するわけです。そして、軍備の拡張を行い、台湾併合の為の軍事進攻を画策するわけです。これは、恐らくロシアも同じでしょう。

日本にとって足枷となるRCEP

RCEP(地域的な包括的経済連携)が日中韓、東南アジア10か国、オーストラリア、ニュウージーランドで結ばれました。これにより、工業製品の92%が関税無しで取引されます。これによって、チャイナ製品は益々日本市場を席巻します。アメリカのように対中貿易赤字が嵩んだとしても、関税でブレーキをかけることはできません。これにより、益々日本の不動産は貿易で潤った中国人のものになっていきます。そして、最終的にはチャイナでの生活に行き詰った難民が大挙して日本に押し寄せるかも知れません。

なんとも怖い予想です

以前読んだ『「平和な国」日本の裏側』はアメリカによる日本の経済支配を扱っていました。そして、この本は、中国による世界の支配が扱われています。どちらも、最悪のシナリオが記されているのですが、何となく、その、最悪のシナリオの方向に世の中が進んでいるように思えてなりません。実際に不動産の取引をやっていますとわかるのですが、中国人による日本の不動産の買い占めは巷間言われている以上です。肌感で90%くらいの確率で中国人とのセリになります。また、中国人の凄いところは現金で買い占めるところです。こちらは銀行からの融資が前提となるので、スピードで負けてしまいます。つまり、目を付けた物件の9割くらいは中国人のものになっています。

アメリカはバブル崩壊で日本でのビジネスを強化しました。その結果、かんぽ生命はアフラックに持っていかれました。そして、官僚を抱き込み高額医療費制度を廃止させ、その受け皿がアメリカに保険会社になることでしょう。中国も、行政府に入り込み新築住宅の屋根に太陽光パネル取り付けの義務化に成功しました。脱炭素も、原発の売り込み、自動車用パワー半導体の売り込みなど、巧みに日本の弱い部分に入り込んでいます。その橋渡し役かK.SやK.Tといった国会議員であることは明らかです。そして、K.Fが北京オリンピックをボイコットしなかったことでも金銭的なつながりがあることは明らかです。