昨日使用したアンプICのlm386は偽物でした。したがって、いつものようにアリエクには返金要求の手続きを行いました。そして、要求が受け入れられ、返金が決定した旨の通知が送られてきました。

lm386の偽物は本物よりも優れていた？

返金要求の手続きを行ったあと、色々と調べて気づきました。このICはlm386の偽物であることは確実です。しかし、lm386のセカンドソース品であるnjm386のコピー品の可能性が高いです。njm386は、lm386と同等のICで、新日本無線という日本のメーカーが作っていたものです。しかし、njm386であればチップ形状が違います。したがって、lm386のセカンドソースnjm386の更にセカンドソースでしょう。それならば、つじつまが合います。

njm386はlm386のデッドコピーではなく、若干の改良が加えられています。ですから、lm386の等価回路と異なる部分があるのです。そして、今回購入したものがnjm386のコピー品なら、lm386とは違うので偽物と判断されます。つまり、lm386ではなくnjm386として販売すれば本物と判断できたわけです。

実際に等価回路を比較すると、njm386は差動増幅段が一段追加されています。また、出力段のバイアス回路も高級な構成になっています。さらに、ステップ応答試験で、マイナス側に大きめのオーバーシュートが出た理由もバイアス回路の構成から説明がつきます。

困ったときの秋月電子通商

lm386の偽物の正体は何となくわかりました。しかし、返金対応してくれたとはいえ、アリエクでICを買うのはリスクです。また、正真正銘のlm386で試したいことがあります。そこで、救世主である秋月電子通商でlm386を含め、いくつか購入することにしました。

先ずはlm386です。しかし、秋月で扱っているのはセカンドソース品です。そもそも、本家のlm386は既に製造されていないそうです。

そして、一つのチップに二回路のアンプを内蔵し、一個でステレオアンプとなるm2073も注文しました。どうやら、このICは1.8Vで動作するらしいので、単三乾電池二本で動作するヘッドホンアンプが作れそうです。

そして、持っていて損はないオペアンプも併せて注文しました。かなり古臭いオペアンプですが、とても好きなオペアンプtl082のセカンドソース品です。これについては、使い道は決まっていませんが、ストックしておいて損はありません。

ワクワク感と安心感、どちらを優先したいのか？

アリエクの偽物については以前も取り扱いました。そして、特にTI社製のICについては、ほぼすべてのICが偽物であることもわかりました。今回扱ったlm386も製造元はTI社に買収されています。つまり、lm386もTIの製品です。したがって、アリエクのようなグレーマーケットには偽物しかないと考えて良さそうです。

ただ、偽物とわかっていて、”どうせ返金してくれるから”アリエクに注文を繰り返す自分がいるわけです。そして、アリエクにクレームを入れるのを少し楽しんでいます。その一方で、例えば秋月のような店なら偽物は絶対ありません。梱包も丁寧で、配送も速やかです。

ワクワク感に満ちたアリエクと安心感たっぷりの国内のお店、どちらも捨てがたい。これが正直なところです。