200円の激安DACはそんなに悪くない

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200円の激安DACを買ったので、色々試してみました。以前買った113円のDACが最悪だったので、あまり期待せずに買いました。しかし、今回のDACはそんなに悪くありませんでした。

200円の激安DACはスマホ用です

今は200円で売られていますが、購入時は180円でした
今は200円で売られていますが、購入時は180円でした

今回もまたアリエクで購入しました。現在は200円で販売されています。しかし、購入時は独身の日セール中だったためか、180円で売られていました。アリエクは、会員レベルやキャンペーンで値段が変わりますし、お店によっても値段が変わります。したがって、どれだけ安く買えるか、色々とテクニックを磨くのも醍醐味です。

200円のDACは簡素なビニール袋に入っていました
200円のDACは簡素なビニール袋に入っていました

DACはビニール袋に入って送られてきました。説明書は入っていません。したがって、この品物を一目見て使い方が解る程度のスキルは必要でしょう。

中身はこんな感じです。黒い布巻ケーブルの端にUSB-Cコネクタと、Φ3.5mmのステレオジャックが設けられています。

コネクタ部分は金属製スリーブで保護されていて、質感は悪くありません。

USB-Cコネクタ
USB-Cコネクタ
Φ3.5mmステレオジャック
Φ3.5mmステレオジャック

DACとしての使い勝手は?

200円の激安DACはスマホ用として販売されています。しかし、PCでも使用することができました。私の使用しているPCにはサンダーボルト端子しかありませんが、問題なく使用できました。接続するとUSB Audioとして認識されました。

200円の激安DACはUSB-Audioとして認識された
200円の激安DACはUSB-Audioとして認識されました

サンプリング周波数は48kHzのみです。また、量子化ビット数は16ビットのみです。

200円の激安DACの出力波形を見てみよう

200円の激安DACに直接イヤホンを繋いで聞いてみました。音は低域から高域まで、しっかり出ています。出力インピーダンスが高い場合に起きる、音瘦せは感じられませんでした。したがって、直接イヤホンを接続することを想定して、出力インピーダンスは低めになっているようです。

では、実際にオシロを当てて出力波形を見てみましょう。

200円の激安DACの出力波形観察。矩形波1Hz
矩形波1Hz

矩形波1Hzは、かなりきれいに出ています。これにより、出力インピーダンスは十分に低く、ドライブ能力が十分確保できていることが解ります。

200円の激安DACから出てきた1kHz矩形波の波形
1kHz矩形波

1kHz矩形波は大きく乱れています。しかし、この乱れはDACの性能に関わらず、等しく発生するものです。この乱れを小さくするには、サンプリング周波数を上げるしかありません。

正弦波の出力波形

続いて、正弦波の出力波形を見てみます。

200円の激安DACで1Hz正弦波を出してみた
1Hz正弦波

当たり前ですが、低い周波数であれば200円の激安DACでも、きれいに出力できます。

200円の激安DACの出力波形。1kHz正弦波
1kHz正弦波

1kHzまで周波数を上げると、波形に乱れが出始めます。200円の激安DACは1kHzあたりでも波形が怪しくなってきています。しかし、波形を乱しているのはかなり周波数の高い成分ですので、聴感上の差異として感じることは無いでしょう。では、もっと上げて、20kHz正弦波の出力波形を見てみましょう。

200円の激安DAC。20kHz正弦波出力波形
20kHz正弦波

1kHzから一気に20kHzまで周波数を上げてみました。しかし、前回波形を観察した113円のDACのような大きな乱れは見られません。1kHzの正弦波と同様に、高い周波数成分による乱れは見られます。これは、内部でオーバーサンプリングを行っているためと思われます。

200円の激安DACのオーバーサンプリングはどのくらい?

今回入手した200円の激安DACは、どのくらいのオーバーサンプリングが行われているのでしょうか。まずは、量子化ノイズをピックアップしてみました。

200円の激安DACが出している量子化ノイズ
200円の激安DACが出している量子化ノイズ

量子化ノイズをピックアップして、拡大してみました。量子化ノイズの周波数は、1MHzから1.3MHzくらいでした。このDACのサンプリング周波数が48kHzですので、大体20倍から24倍くらいのオーバーサンプリングが行われていると思われます。

しかし、量子化ノイズに時間軸の揺らぎが見られますので、1Bit D/AでPWM変調をしているのかも知れません。

200円の激安DACは素性は良いが、後処理が雑

今回購入した激安DACですが、出力波形を見る限り、素性は悪くないと思います。また、出力インピーダンスは低めで、直接イヤホンをドライブできます。また、詳細は不明ですが、中身はひょっとすると1Bit D/Aかもしれません。いずれにせよ、素性は悪くありません。しかし、量子化ノイズが出力信号に乗ってしまっています。併せて、量子化ノイズがノコギリ波状であることから、ローパスフィルタが正しく働いていないように思います。しかし、このノイズ成分は1MHzを超えていて、可聴周波数よりもずっと高い周波数です。また、レベルもそれほど大きくありませんので、イヤホンやヘッドホンのボイスコイルを焼き切ってしまうことは無いはずです。

安物ですが、実用には差支えはありません。しかし、一度でも測定器を接続すると、心理的効果により音が悪くなりますので、十分注意してください。