M113というANENGの安価なテスター
M113というANENGの安価なテスターを買ってみました。テスターは他にも持っています。したがって、新たに購入する必要はありませんでした。しかし、送料込みで400円という価格に惹かれて購入しました。
ANANGのテスターは他にも持っています
最近ではANANGのAOS02という、オシロスコープ付きテスターを購入しました。また、お気に入りのテスターもANENGのSZ305です。この1~2年程のあいだ、ANENGという中国メーカーのテスターを見かけるようになりました。何れも、安価な割に機能は豊富です。そして、ホビー用途であれば十分と言える精度も持ち合わせています。ただし、テスターの特性を知らずに使用すると、正しく測定ができません。特に、トランジスタの直流増幅率hFEの測定は、多くの場合不正確な値を示します。これは、測定時のエミッタ-コレクタ間の電圧不足によるものです。しかし、これはANENGのテスターに限った事ではありません。測定器を使用する場合には、特性を理解して使わなけばなりません。
ANENG M113の機能
ANENG M113には三つの機能しかありません。電圧測定、抵抗測定、NCV(非接触式検電)の三つです。電圧測定と抵抗測定のモード切替は自動で行われます。逆に、手動で測定モードを切り替えることはできません。テストリードに0.8V(DC)または0.2V(AC)以上の電圧が加わると電圧測定モードになります。それ以下の電圧の場合、抵抗測定モードに切り替わり、抵抗値の測定が行われます。
NCVに関しては、NCVボタンを押している間だけNCVモードになります。
ANENG M113の魅力は小ささと軽さ
機能は限定されていますが、小ささと軽さは魅力です。重さは160グラム、サイズは118×62×28mmです。
ANENG M113の中身
ANENG M113の中身を見てみましょう。分解は簡単で、本体裏面にある4本のネジを外すだけです。
最近のテスターらしく、基板はとても小さいです。電流測定機能がありませんので、ヒューズやシャント抵抗等の大きな部品はありません。なお、基板上には2kビットのEEPROM、AT24C02が搭載されています。このROMを書き換えることで、動作を変更することができるかも知れません。なお、HOLDボタン長押しでブザーが鳴ります。ANANGの他のテスターでは、HOLDボタンの長押しで、バックライトのON/OFFができます。恐らく、ファームウェア的には、バックライトの機能はあるようです。しかし、バックライトを取り付けるパターンは用意されていません。ANENGの一部の機種のように、簡単にバックライトを取り付けることは難しそうです。
ANENG M113の悪いところ
安いということだけで購入した、ANENGのM113ですが、やはり問題点はあります。その一つが、導通チェックです。テストリート間の抵抗値が、50Ω以下になるとブザーが鳴り、導通を報せてくれます。この機能は、いちいち表示を確認する必要が無いので、基板のチェックで重宝します。しかし、ANENG M113では、導通状態になってから、ブザーが鳴るまで、一呼吸あります。基板のデバックでは、このタイムラグがストレスになります。
また、モードとレンジの固定がでません。これも使いにくい点です。抵抗測定を断続して行う場合、M113は電圧測定を行い、電圧が一定以下であった場合に抵抗測定を始めます。そのため、毎回電圧測定後に抵抗測定モードに切り替わります。測定点が多い場合、このタイムラグが厄介です。同じANENGの製品でも、M118というモデルでは、測定モードを手動で固定することが可能です。恐らく、この辺りが上級機との差別化ということなのでしょう。(上級機と言ってもM118は600円程で買えます。)
ANENG M113の良いところ
マニュアルには記載されていませんが、M113はT-RMS(真の実効値)表示です。実際に、正弦波、矩形波、三角波の電圧測定を行い、確認しました。ただし、M113のような簡易なテスターが使用される場面で、T-RMS表示云々は気にされないとは思います。
そして、最大の利点は軽さと小ささでしょう。シャツの胸ポケットにも入ります。
他に良いものは沢山ある
今回購入したANENG M113ですが、正直言ってこれを購入する理由はありません。ホビーユースであれば、SZ305のような測定レンジ切り替えが手動のものの方が使いやすいでしょう。また、一台の測定器で、幅広い測定を行いたいのであれば、オシロスコープ付きのAOS02が良いでしょう。また、安価なものを探しているなら色々なメーカーが作っているDT830系が良いでしょう。粗悪品もそれなりにあります。粗悪品の多くは、シャント抵抗や保護回路をケチっている関係で、電流測定がいい加減です。しかし、電流測定をあきらめればそれなりに使えます。なお、DT830系のテスターの大部分は、T-RMS(真の実効値)表示ができません。しかし、T-RMSが必要な場面はそれほど多くないでしょう。ちなみに、ANENG AN8205Cも中身はDT830です。