組み込み用MP3デコーダー
組み込み用MP3デコーダーを試してみました。この商品は、以前から気になっていました。これまでも、デコーダーモジュールは使用してきました。しかし、今回のものは、これまで使用してきたものと異なり、組み込みを前提とした作りです。そのため、表示装置や、赤外線リモコンも付属します。
激安MP3デコーダー
今回購入したMP3デコーダーはAliexpressで300円程の価格でした。同じMP3デコーダーを、100円程で販売している店もありました。しかし、送料が別途加算されます。したがって、送料込みで300円程の価格は最低価格だと思います。
今回購入したのは、MP3デコーダーです。しかし、パワーアンプを内蔵したものもあります。数百円追加で、パワーアンプ内蔵モデルが購入できます。直接スピーカーを接続するなら、そちらの方が良いでしょう。
今回は、ヘッドホンアンプと組み合わせて使う予定ですので、パワーアンプ非搭載を選択しました。
MP3デコーダーに説明書は無い
今回購入したMP3デコーダーには説明書は付属しません。
組み込み用MP3デコーダーには、赤外線リモコンが付属します。その他、ライン出力ケーブル、電源ケーブル、アンテナ線、ネジ穴の化粧蓋が付属していました。
組み込み用MP3デコーダーの前面パネルには、USB端子、TF(マイクロSD)スロット、Φ3.5mmAUXジャックが用意されています。その他、表示装置(LEDパネル)、4つの操作ボタンが設けられています。また、組み込み用らしく、筐体に固定するためのネジ穴が用意されています。
背面には、電源コネクター(赤色)とライン出力コネクター(白色)が用意されています。ライン入力については、コネクターは設置されていません。しかし、コネクター設置用のパッドは用意されています。必要に応じて使用できます。なお、前面パネルのAUXコネクタは、モノラルです。したがって、ステレオの入力が必要な場合には、前面のAUXではなく、基板側端子を利用すると良いでしょう。
ちなみに、FMラジオ受信もできます。しかし、受信周波数は90~108MHzです。また、ステレオ受信はできず、モノラル受信となります。
組み込み用MP3デコーダーを筐体に収める
筐体に収めなくても、使用できます。しかし、回路むきだしでは何かと都合が悪いこともあります。そこで、100均で購入したプラ箱に収めました。
筐体に収めるといっても、最低限の加工に留めました。本体に、ライン出力用のΦ3.5mmステレオジャックと、Φ5.5mm電源コネクタを追加したのみです。プラ箱内のスペースには余裕があります。空きスペースに、電池を内蔵して、電池駆動にすることもできるでしょう。
自作ヘッドホンアンプと組み合わせて使用する目的で、組み込み用MP3デコーダーを購入しました。実使用時のセットアップはこんな感じです。
組み込み用MP3デコーダーのライン出力とヘッドホンアンプの入力を繋いで使用します。
組み込み用MP3デコーダーの性能
今回購入した組み込み用MP3デコーダーは、ハッキリ言って安物です。したがって、過剰な期待は禁物です。また、このMP3デコーダーはデジタルオーディオ機器です。したがって、アナログオーディオと異なり、可聴域外の特性に意味はありません。
今回は1kHzの正弦波と矩形波を再生し、出力波形を観察します。このデコーダーは、MP3の他にFLACやWAV等のデータも再生できます。今回は、WAVフォーマットの音声データを使用しました。
では、出力波形を見ていきましょう。
組み込み用MP3デコーダーのライン出力電圧は高めで、P-Pで2.5Vを超えます。出力波形には、大きな乱れは見られません。しかし、波形に細かい揺らぎが見られます。この細かな波形の乱れは、恐らくデジタル処理で発生する量子化ノイズだと思われます。通常、量子化ノイズはローパスフィルタで処理されます。しかし、安物ですからこのあたりの処理が疎かになっているのかも知れません。
矩形波の方は、大分汚い波形に見えるかもしれません。しかし、奇数次高調波を多く含んだ矩形波をデジタルオーディオ機器で再現するのは困難です。矩形波が汚いのは、デジタルの宿命です。したがって、高級な機器でも大きな改善は期待できません。
ヘッドホンアンプを繋いだ時の波形
デコーダー単体では、出力に少しノイズが少し乗っていました。しかし、このノイズの周波数成分は、可聴域外と思われます。したがって、聞こえないノイズが乗っているだけなので、聴感上影響は無いはずです。それでも、心理的に音の悪さを感じてしまうでしょう。
しかし、このMP3デコーダーを単体で使うことはありません。そもそも、自作のヘッドホンアンプと組み合わせて使用することを目的として購入しました。そこで、ヘッドホンアンプに接続したときの波形を見てみることにしました。
アンプを経由すると、波形の細かな揺らぎが減っていることが解ります。これには、二つの理由があると考えられます。
- インピーダンスマッチングによる反射の抑制
- ヘッドホンアンプの周波数特性による高周波成分の減衰
MP3デコーダーの測定は、出力端がオープンの状態で行いました。しかし、ヘッドホンアンプ経由時は、ヘッドホンアンプの入力抵抗33kΩの負荷がかかった状態になります。電気回路では、抵抗値が大きく変化する場所で、信号の反射が起きます。この反射によって、信号が乱れたのかも知れません。
また、今回使用したヘッドホンアンプは、190kHzを超える周波数では増幅率が低下します。そのため、波形揺らぎを構成する、高い周波数成分が減衰し、その結果ノイズが無くなったのかも知れません。
組み込み用MP3デコーダーは使い物になるか?
安物の組み込み用MP3デコーダーですが、十分使い物になります。出力波形に若干の乱れはありました。しかし、その乱れは、アンプ接続時には見られませんでした。したがって、実使用においては、ノイズの無い音が出てきます。
実際に聴いてみると、ノイズは全く感じられず、内蔵イコライザの選択を誤らなければ歪みを感じません。300円でこの品質なら、十分満足です。