マイナンバーカードが暴走を始めています

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マイナンバーカードが暴走し始めました。本来、税に関する手続きのみに使用されるはずでした。しかし、健康保険証を取り込み、2025年春には、運転免許証もマイナンバーカードに取りまれまます。最早、制御不能と思われる暴走が始まる予感です。しかし、諸外国に目を向けると、この暴走は止まりそうにありません。

マイナンバーカードが暴走した国:その1、スウェーデン

北欧の国は、高課税・高福祉の、所謂社会主義的な社会構造の国が多いように思います。このような、社会主義傾向が強い国では、個人番号制が早くから導入されているようです。スウェーデンでは、PIN(Personal Identity Number)と呼ばれ、1947年に導入されたようです。今日では、専用アプリを使って、PINで支払いできるようです。もちろん、受診の際にはPINが必要ですし、電気・ガス・水道・携帯電話などの契約には必須のようです。

また、PINを打ち込むと、住所、生年月日、電話番号などが解るサイトがあるようです。そのため、電話帳や住所録の類が、スウェーデンでは必要ないそうです。

マイナンバーカードが暴走した国:スエーデンの例(マイナンバーなんてヌルい!スウェーデンのパーソナルナンバーの実態より引用)
個人番号カード:スウェーデンの例(マイナンバーなんてヌルい!スウェーデンのパーソナルナンバーの実態より引用)

マイナンバーカードが暴走した国:その2、韓国

韓国でのマイナンバーにあたる制度、住民登録番号は1962年の法整備を以て開始されたようです。しかし、日本と異なり、プライバシーには若干の配慮があり、券面に住民登録番号の記載は無いようです。代わりに、発行番号が記載されます。日本でも、2026年度から、券面への個人番号記載が無くなるようです。

韓国では、インターネット実名制度が適用されています。これに基づき、サービス利用にあたって住民登録番号が必要となることがあるようです。これが奏功して、韓国のサイバー犯罪(違法複製、詐欺、誹謗中傷など)の検挙率は90%近いそうです。(出典:総務省:諸外国における国民ID制度の現状等に関する調査研究報告書)

恐らく、日本でも同様の制度が、少しずつ導入されるかもしれません。もちろん、ネットを使って違法行為を行うつもりはありません。しかし、監視されていると思うと、ちょっと気持ち悪いです。でも、これが犯罪の抑止につながるとなれば、ある程度飲み込まなければならないでしょう。

マイナンバーカードが暴走した国:韓国の住民登録番号カード(総務省:諸外国における国民ID制度の現状等に関する調査研究報告書より引用)
韓国の住民登録番号カード(総務省:諸外国における国民ID制度の現状等に関する調査研究報告書より引用)

マイナンバーカードが暴走しなかった国:アメリカ

アメリカでは、1935年に成立した社会保障法に基づいて、社会保障番号(SSN)の運用が始まりました。しかし、個人主義が徹底された国ですから、その利用は厳しく制限されています。

アリゾナ州では、2005年1月に施行された法律で、公衆でのSSNの公開は禁止です。また、郵便物に印刷することも禁止です。さらに、SSNを継続して使用する企業は、使用の詳細を顧客に毎年公開することが義務付けられています。また、SSNの使用をオプトアウトできるよう、義務付けされています。

カリフォルニア州では、上院法案168が2001年10月に成立しました。これにより、SSNを身分証明書、製品やサービスを買うための書類に記載することが禁止となりました。さらに、SSNを顧客の識別に使う公益企業は、郵送する明細書や請求書に記載することを禁止しています。

※以上、出典は総務省:諸外国における国民ID制度の現状等に関する調査研究報告書

つまり、州によって温度差はあるものの、個人番号(SSN)の利用は限定的です。個人が尊重される、アメリカでは、制度の暴走は起きていません。逆に、個が暴走しているのかも知れませんが。

暴走は止まらないのか?

税制を見ても、社会福祉を見ても、日本は高課税・高福祉の方向に舵取りが行われているように感じます。つまり、スウェーデンやフランスなどの、社会主義的な方向に進んでいくのでしょう。

すると、マイナンバーカード適用範囲の、更なる拡大が連想されます。実際に、マイナンバーカードに保険証が取り込まれました。そして、免許証も取り込まれます。この流れで、恐らくマイナンバーが支払いの機能を持つようになるでしょう。そして、電車に乗るにも、部屋を借りるにもマイナンバーが必要となるでしょう。

その一方で、韓国の例を見ると判るように、ネットの匿名性を悪用した犯罪は、やりにくくなるはずです。

しかし、便利になることも:正しい接し方?

マイナンバーカードの暴走には、居住まいの悪さを感じています。しかし、利点が無いわけではありません。ここ最近は、マイナンバーカードを使って、年末調整をしています。申告は、モノの5分で終わります。とにかく便利です。

法人の印鑑証明書の取り寄せも、マイナンバーカードに保管されている電子証明書を使えば簡単です。郵送料を加えても、窓口での発行より、手数料は安く設定されています。法務局に足を運ぶことなく、証明書を取得でき、便利です。証明書の取り寄せだけでなく、商業・不動産登記も部分的ではありますが、オンラインで行えます。

引っ越しの手続きも、転入先の役所に行って、10分ほどで終わりました。転出元の役所に行く必要はありません。

現在、スマホで行っている、支払、公共交通機関の利用などの機能が加われば、さらに便利になります。「出かけるときは忘れずに」がクレジットカードではなく、マイナンバーカードになるかも知れません。

もし、落としたり、無くしたりしたら・・・。こんな心配ももちろんあるでしょう。しかし、これは考え方次第です。現在でも、スマホを落としたり無くしたりしたら大事です。サイフだってそうです。現金が入っているでしょうし、健康保険証や運転免許証が入っているかも知れません。落としたり、無くしたりしたら大事です。

どう頑張っても、マイナンバーカードの暴走は止まらないでしょう。だったら、便利に使っていくしかないのでしょう。居住まいの悪さは、どこまで行っても拭えませんが。