DSO138というオシロスコープを組み立てる
DSO138というオシロスコープを作ります。セミカレミラ・ヘッドホンアンプが大失敗したので気分転換です。このオシロスコープキットは、いつものアリエクで購入しました。価格は、専用ケース込みで3000円弱でした。はんだ付けの練習も兼ねて組み立ててみました。
DSO138の概要
オシロスコープDSO138は、値段からもわかる通り、あまり上等ではありません。主な仕様は以下のとおりです。
- 周波数帯域:0~200kHz
- 分解能:12bit
- サンプリングレート1Ms/S
- X軸設定範囲:5mV/Div~5V/Div
- Y軸設定範囲:10μS/Div~50S/Div
- 入力インピーダンス:1MΩ
- 最大入力電圧:50Vpp(1:1プロープ)、400Vpp(10:1プローブ)
以上のように、スペックは限定的です。特に測定周波数上限は200kHzです。実際に波形が判別できるのは、測定上限周波数の1/10程度が目安です。したがって、DSO138では、アンプの発信を検出することは難しいでしょう。しかし、可聴域の測定に限定するなら、それなりに使えるでしょう。
DSO138の組み立てはそれほど難しくない
先ずは、DSO138の基板を見てみましょう。
親切なことに、表面実装部品は実装済みの状態でした。したがって、組み立てはスルーホール部品の実装が主となります。しかし、基板上のシルク印刷には部品番号しか印刷されていません。したがって、付属の組み立て手順書を見ながらの作業となります。
付属の組み立て手順書は、かなり丁寧に書かれています。したがって、手順書に忠実に組み立てていくだけです。しかし、抵抗のカラーコードの読み取り方や、コンデンサの容量の読み取り方は、記載されていません。したがって、カラーコードやセラミックコンデンサの容量の読み取り方を知らないと、難しいでしょう。
組み立て完了
ノイズ対策と放熱のためと思われますが、はんだ面の大部分が、べたアースになっています。そのため、はんだごての熱が逃げやい箇所があります。そのため、ワット数の低いはんだごてでの組み立ては難しいでしょう。
また、部品番号の附番に規則性が感じられませんでした。そのため、部品を付けるたびに、実装位置を探す必要がありました。そんなこともあって、組み立てに3時間ほど、かかったと思います。
メイン基板の組み立てが終わったら、液晶パネルが乗った、表示基板を組み立てます。組み立てが完了したら、電源端子に9Vの電源を接続します。そして、説明書に従い、主要部分の電圧を測定し、基準どおりの電圧になっていることを確認します。
しかし、基準どおりになっていなかった場合の対処方法の記載が不親切です。そのため、このキットは、ある程度、経験と知識がないと難しいでしょう。
DSO138動作チェック
主要部分の電圧測定が終わったら、メイン基板に表示基板を接続し、通電します。起動したら、付属の簡易プローブを、試験信号端子に接続し、波形が表示されたら、組み立て完了です。
画面を見てもわかるとおり、結構ノイズを拾っています。
操作方法は独特で、電圧(Y軸)の設定はスライドスイッチで行い、時間(X軸)の設定は押しボタンで行います。また、0Vのキャリブレーション手順も独特です。
ケースの組み立ての方が難しかった
今回は、別売りのケースも一緒に購入しました。しかし、このケースの組み立てに手間取りました。組み立て手順書は付属しませんので、部品の形状から、完成形を想像しながら組み立てます。特に、表示基板まわりの組み立ては、順序を間違うと、ボタンが設置できません。また、BNCコネクタ用の丸穴が開いたパネルも、組み立て順序を間違うと、取り付けできなくなります。
苦労の末に、ケースに収めたDSO138がコレです。
オシロスコープDSO138は使い物になるか?
残念ながら、実用性は高くありません。やはり、周波数帯域が狭いです。前述のとおり、周波数帯域の上限200kHzのオシロスコープでは、20kHzくらいが測定上限です。もちろん、可聴域の測定はできるでしょう。しかし、アンプの発信は、MHzオーダーの周波数になることもあります。つまり、200kHzが測定上限のオシロスコープは、アンプの性能測定には使えません。
しかも、測定上限10MHzのオシロスコープが7000円程で買えます。したがって、性能を勘案すると、DSO138は割高で、実用性の低いオシロスコープと言えます。組み立てを楽しむのであれば、それなりに楽しめるでしょう。しかし、測定器としての価値は、高くありません。