ClassAAヘッドホンアンプのPCBを作る

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ClassAAヘッドホンアンプのPCBを作ります。先日、古いClassAAヘッドホンアンプの性能測定を行いました。その結果、音の好き嫌いは別として、常用域ではいい感じでした。しかし、作った当時は、ユニバーサル基板を使っていました。専用基板ではありませんので、配線の取り回しは洗練されていません。さらに、度重なる改造で基板自体かなり傷んでいます。そこで、専用基板を起こし、よりよい状態で動作させてみようと思います。

ClassAAヘッドホンアンプの回路を再設計する

ユニバーサル基板で組み立てたClassAAヘッドホンアンプは、ネットに落ちていた回路図を丸ごと真似ました。特に、ClassAA回路の特徴であるホイートストンブリッジの定数検討は行っていません。そもそも、ホイートストンブリッジの原理もよく解らないまま使用していました。

そこで、先ずは回路を設計しなおすことにしました。設計にあたっては、机上での計算と併せて、LTSpiceでのシミュレーションも重ねました。そして、出来上がったClassAAヘッドホンアンプの回路図がコレです。

回路図
ClassAAヘッドホンアンプ回路図

元ネタとなった回路では、ホイートストンブリッジを構成する抵抗は、10Ω、33Ω、1kΩ、3.3kΩでした。今回の設計では、10Ω×2、51kΩ×2としました。

元の回路では、U2の出力は43Ωの抵抗を介して出力されていました。これを、20Ωにしました。これによりホイートストンブリッジでの電圧降下を小さくしました。その結果、U2の出力飽和マージンを広くできました。

使用するオペアンプは、NJM4580としました。NJM4580の動作電圧は±2V~±18Vと広く、電池駆動に向いています。また、ヘッドホンアンプとしても適している旨がデータシートに記載されています。オーディオ用であれば、間違いない選択です。

ClassAAヘッドホンアンプのシミュレーション結果

先ずは、ボード線図を見てみましょう。

ボード線図
ClassAAヘッドホンアンプ ボード線図

利得は、20kHzあたりまでフラットです。その後、利得は対数的に上昇し、900kHzあたりでピークを形成します。しかし、可聴域でのフラットな部分と、ピーク利得の差は1dB程度しかありません。また、位相は10kHzあたりから変化しています。しかし、位相回転は1MHzで60度で、位相余裕は十分です。そのため、発振の危険性はありません。

次に1kHz正弦波0dB出力時のFFTを見てみましょう。

ClassAAヘッドホンアンプ 1kHz正弦波0dB出力時のFFT
ClassAAヘッドホンアンプ 1kHz正弦波0dB出力時のFFT

0dB出力時のノイズフロアは-120dB~-100dBに収まっています。奇数次の高調波が目立ちますが、最大でも0.01%程度ですので、リスニングに影響することはないでしょう。

以上のシミュレーション結果から、高安定、低歪、低ノイズなアンプであると言えます。

ClassAAヘッドホンアンプのPCBを設計する

PCBの設計は、EasyEDAを使用して行いました。LTSpiceの回路データをEasyEDAに移す方法を知りませんので、回路図を再度書いていきます。

ClassAAヘッドホンアンプ PCB用回路図
ClassAAヘッドホンアンプ PCB用回路図

回路図の作成が終わったら、データをPCBにコンバートします。続いて、部品配置、配線、シルクの入力を行います。

ClassAAヘッドホンアンプ PCB設計
ClassAAヘッドホンアンプ PCB設計

PCBの設計が終わったら、3Dデータで、部品の干渉や、組み立て時の不都合が無いことを確認します。

ClassAAヘッドホンアンプ 部品実装状態の確認
ClassAAヘッドホンアンプ 部品実装状態の確認

ICを使うことで、部品点数が減り、すっきりとしています。今回は、オペアンプの差し替えは考えていません。したがって、ソケットは使用しない予定です。しかし、気が変わってもよいように、ソケットを設置できるように、スペースを設けておきました。

基板単体のイメージはこんな感じです。

ClassAAヘッドホンアンプ PCBイメージ
ClassAAヘッドホンアンプ PCBイメージ

PCB製造発注

毎度のことですが、PCBの製造はJLCPCBに発注しました。カーバーデータを送信して、支払いを済ませたら、あとは待つだけです。大体一週間ほどで配送されてきますので、受取次第、組み立てようと思います。