MP3-TF-16P(DFPlayerクローン)の再生品質

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MP3-TF-16P(DFPlayerクローン)の再生品質について評価します。ハードウェア編でも触れましたが、DFPlayerのクローンMP3-TF-16Pの再生品質は良くありません。ノイズがかなり多いです。そこで、電源部分に10μFのデカップリングコンデンサーを入れました。その結果、ある程度ノイズを抑えることはできました。

しかし、静かな曲ではノイズが気になります。今回は、DFPlayerで作る音楽プレイヤーの仕上げとして、ノイズ対策を行います。

MP3-TF-16Pのノイズ測定

MP3-TF-16Pからはどの程度のノイズが出ているのでしょうか?オシロスコープを使って、計測してみました。

MP3-TF-16Pから出ているノイズ

盛大にノイズが出ています。ノイズのベースとなる周波数成分は216kHzです。信号レベルは高く、P-Pで200mVもあります。しかし、ノイズは単純な正弦波ではありません。波形に乱れがあります。目測ですが、216kHzのうちの1サイクルに、6個の小さな山が重なっているように見えます。したがって、400kHzと600kHzあたりの信号が重なっていると思われます。

いずれの周波数も、可聴域のずっと上ですから聞こえないはずです。しかし、聞こえないはずの周波数の信号が、ノイズとして聞こえることがあります。また、音としては捉えられなくても、違和感として感じることも過去にありました。これを、オーディオの世界にはびこるオカルトだと言われても、実際に聞こえてくるのです。放置してはおけませんので、対策を施します。

MP3-TF-16Pのノイズ対策

ノイズ対策は、非常に難しいです。特に、専門知識のない素人なら、なおさらです。しかし、何とかノイズを消し去りたいので、無い知恵を絞って頑張ります。

ハードウェア編では、電源部分にデカップリングコンデンサーを入れることで、ノイズレベルを下げました。しかし、電源部分のデカップリングコンデンサーを大きくすることは好ましくありません。Arduinoに搭載されているレギュレーターを破壊する可能性が有るためです。

そこで、今回はDAC出力にCRローパスフィルターを設置することにしました。可聴域への影響を抑えたいので、カットオフは50kHzとしました。カットオフを50kHzにすれば、200kHzで12dBの減衰となりますので、ノイズはかなり小さくなるはずです。

ローパスフィルタの回路定数は、CR発振器の発信周波数を求める式を変形して求めます。カットオフ周波数は、前述のとおり50kHzとし、コンデンサーは手元にある0.1μFに仮決めして、以下のように計算して求めました。

CRローパスフィルタの回路乗数を求める
CRローパスフィルタの回路乗数を求める

計算の結果、使用する抵抗の値は32.847Ωと求まりました。これをE17系列に近似させて、33Ωの抵抗を使用することにします。

MP3-TF-16Pにノイズ対策を施した実態配線図

ハードウェア編で作成した実態配線図に、ノイズ対策で追加した部品を書き加えました。

MP3-TF-16Pにノイズ対策を施した実態配線図
MP3-TF-16Pにノイズ対策を施した実態配線図

ノイズ対策の結果確認

MP3-TF-16Pで試験信号を記録したMicroSDを再生したときのDAC出力波形を観察しました。再生したファイルは、WAVフォーマットで記録した、1kHz0dBの正弦波です。

まずは、ノイズ対策前の波形を見てみましょう。

MP3-TF-16P DAC出力信号波形 LPF設置前
MP3-TF-16P DAC出力信号波形 LPF設置前

正弦波であることはわかるのですが、ノイズにより信号線が細かく揺らいでいることが分かります。

次に、ローパスフィルター設置後の波形を見てみましょう。

MP3-TF-16P DAC出力信号波形 LPF設置後

ローパスフィルター設置後は、細かな針状のノイズが消えていることが分かります。しかし、波形の揺らぎは完全には取り切れていません。今回追加したローパスフィルターは、簡易なものです。そのため、ハイカット性能は、カットオフ周波数をショルダーとして、6dB/Oct.の緩やかな除去性能しかありません。したがって、完ぺきなフィルターとは言えません。π型フィルターを使用すれば、12dB/Oct.の除去性能が得られるはずです。

しかし、実際に聴いてみると、ノイズが低下したことを十分感じます。しかし、まだ無音部分ではノイズが感じられます。やはり、MP3-TF-16Pをピュアオーディオ装置として取り扱うのは厳しいです。音質は悪くないので、ノイズだけが玉に瑕です。

さらに改良するなら

ノイズにフォーカスしましたので、使い物にならないと思われるかもしれません。しかし、ポータブルプレイヤーとして、割り切って使うなら、ある程度満足できるでしょう。250円という価格を考えれば、納得しなければなりません。なお、今回ノイズ対策として設計したローパスフィルターを、もっと追い込むのも手です。今回は、可聴域への影響を恐れて、カットオフ周波数を50kHzとして設計しました。これを、可聴域ギリギリで設計すると、もっと良い結果が得られるかもしれません。ちなみに、カットオフ周波数を20kHzとした場合、コンデンサ0.33μF、抵抗22Ωとなります。試す価値はあると思います。

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