読書

金もかからず、なんだかチョットだけ良い自分になったような気にさせてくれること、それが読書ではないかと思います。

星新一著『声の網』 読書

星新一著『声の網』

星新一といえばショートショートを真っ先に思い浮かべます。しかし、この『声の網』は連作短編といった方が良いかも知れません。全部で12編の短編からなる作品です。舞台は通称メロンマンションと呼ばれる集合住宅。最初の一編は一月にメロンマンションの一階にある店舗から始まり、最後の一編は十二月のメロンマンション…
甲斐弦著『GHQ検閲官』 読書

甲斐弦著『GHQ検閲官』

この本の末尾にこんな文言が記されていました。「本書は、令和4年2月3日に著作権法第67条1項の裁定を受けて作成したものです。」 つまり、この本の権利者との連絡が取れない状態のようです。権利者に支払われるべき印税相当額は供託されているということです。著者の甲斐弦氏は既にお亡くなりになっていますが、この…
永井荷風著『つゆのあとさき』 読書

永井荷風著『つゆのあとさき』

永井荷風氏といえば風変わりな遊び人というイメージですが、これは恐らく『墨東奇譚』の印象によるものでしょう。この作品『つゆのあとさき』の主人公は君子という羞恥や貞操という考えのないカフェーの女給です。この作品が書かれたのは昭和6年ですから、日中戦争前のわりと平和な時代だったのでしょう。 君子の周りに集…
松本清張短編集『張込み』 読書

松本清張短編集『張込み』

松本清張著『張込み』(傑作短編集5)は面白いです。本の表題になっている『張込み』の他、『顔』『声』『地方紙を買う女』『鬼畜』『一年半待て』『投影』『カルネアデスの舟板』が収められています。この本に収められた短編の映像化率はかなり高いと思います。その中でも『鬼畜』は特に印象的です。 何度も映像化されて…
宮本輝著『蛍川』 読書

宮本輝著『蛍川』

宮本輝著『蛍川』は、他の作品『泥の河』、『道頓堀川』と併せて川三部作の中核的な作品です。この作品で宮本輝氏は芥川賞を受賞しました。時代背景は『泥の河』よりも数年下った昭和37年の富山が舞台となっています。主人公の竜夫は中学三年生の設定ですから、舞台となった土地は異なっているものの、『泥の河』の主人公…
宮本輝著『泥の河』 読書

宮本輝著『泥の河』

宮本輝氏といえば随分と多作で、全ての作品を読むのは至難の業でしょう。個人的に好きな作品は『錦繍』で、その他には『睡蓮の長いまどろみ』も好きです。『錦繍』は独特の韻を踏んだ書き出しが印象的で、『睡蓮の長いまどろみ』は仏教の教えである因果倶時が全体を通してのテーマになっており、また塩苅峠で起きた事故のエ…
西村賢太氏の訃報に触れて 読書

西村賢太氏の訃報に触れて

つい先日、石原慎太郎氏の訃報を聞いたばかりの2022年2月5日、同じく作家の西村賢太氏の訃報が伝えられました。西村賢太氏の代表作といえば、映画にもなった『苦役列車』でしょう。この作品で西村氏は2011年に芥川賞を受賞しました。それから約十年、54歳で作家としてはこれからという時の逝去は残念でなりませ…
石原慎太郎氏の訃報に触れて。 読書

石原慎太郎氏の訃報に触れて。

今日(2022年2月1日)、作家の石原慎太郎氏がお亡くなりになりました。石原慎太郎氏は作家としてよりも政治家、そして都知事としての印象が強いかもしれません。私も石原慎太郎氏の作品はたった三冊しか読んでいませんでした。 一冊目は最初の作品で、芥川賞受賞作でもある『太陽の季節』そして弟で俳優の石原裕次郎…
有川浩著『塩の街』 読書

有川浩著『塩の街』

何年も前に買ったにもかかわらず読んでいませんでした。所謂”積ん読”状態(電子書籍なんで積んですらいないんですけどね)でした。正確には一度読み始めたのですが、最初の何ページか読んでこの本がSFだとわかった時点で読むのを止めてしまいました。そうなんです、私はSFが苦手なんです。 私がSF嫌いになるきっか…
『日本没落を望む7人の反日主義者』 読書

『日本没落を望む7人の反日主義者』

また経営科学出版の本(今回はPDFでの配布です)を買ってみました。100円という激安価格でした。PDF版ですから送料の負担もありませんでした。出版元の経営科学出版という会社は悪い評判も目にしますが、サブスクさえしなければ安全だと思いますし、出版物に関しても若干の偏りは感じますが悪いものではないとおも…