読書

金もかからず、なんだかチョットだけ良い自分になったような気にさせてくれること、それが読書ではないかと思います。

『寂庵だより』 読書

『寂庵だより』

何となくとげとげした世の中に、何となく嫌気がさしてきて、何となく疲れた時にこんな本がいいですね。癒しとは少し違って、過ちは過ちとして、苦しみは苦しみとしてありのままを受け入れる事だと教えてくれているような気がします。 著者は瀬戸内寂聴氏で、恐らく知らぬ人はいないでしょう。突然出家(本書中では出離と書…
『黒田如水』 読書

『黒田如水』

黒田如水は隠居してからの呼び名で、黒田官兵衛という呼び名の方が今日では一般的かもしれません。さて、今回手に取りましたのは、坂口安吾氏の短編です。坂口安吾氏は『二流の人』でも黒田如水について書いており、余程好きだったのでしょう。『二流の人』と本作品のどちらが先に書かれたものかは知りませんが、根底に流れ…
『南方郵便機』 読書

『南方郵便機』

サン=テグジュペリ氏の作品は、文法的にかなり高度で、翻訳が難しいという噂を耳にしたことがあります。代表作である『星の王子様』に関しては多くの翻訳本が出ていますが、中には誤訳を含んでいるものも有るらしいです。 今回手に取りました『南方郵便機』は、サン=テグジュベリ氏29歳の時の作品で、作家としてのキャ…
『復讐するは我にあり』 読書

『復讐するは我にあり』

昭和38年から39年にかけて起きた実際の事件を取り扱った作品です。この作品は今村昌平氏の手により映画化もされています。かなりの大作で、映画では恐らく省略せざるを得なかった部分も多かったのでしょう。特に犯人である榎津巌の獄中での生活や、榎津巌が唯一逃避行の道連れとした染谷勢以子による後日談は映画では全…
『ふたり』 読書

『ふたり』

私には映画を見るという習慣が無いのですが、大林宣彦氏の映画は概ね欠かさず観ています。そして、原作のある映画の場合、ほぼ確実に原作を読んでから映画を見るようにしています。しかし、今回手に取った『ふたり』に関しては珍しく映画は何度も観ており、DVDも購入したのですが二十年以上も原作を読んでいませんでした…
『河童』 読書

『河童』

言わずと知れた芥川龍之介氏の代表作です。精神を患った者が語った事を物語としたという一文から物語は始まります。見方によっては、河童の話を語るその人こそが著者である芥川龍之介氏自身なのかも知れません。このあたりは『妙な話』と併せて読むと何となく事情がつかめるように思います。 物語は男がある日沢伝いに山を…
『ちゃっかり温泉』 読書

『ちゃっかり温泉』

ちゃっかり、仕事をサボってふらりと温泉に行く、そしてその近所の店にふらりと寄って食事をする。そんな贅沢なひと時を過ごすことを著者はちゃっかり温泉と呼んでいます。著者は久住昌之氏。久住氏の著書といえばどちらかと言えば漫画が多く、最初に久住氏の著作を手にしたのは、実弟との共著である『中学生日記』です。出…
『億男』 読書

『億男』

本屋大賞にノミネートされたベストセラー、『億男』を読んでみました。実際に購入したのは昨年なのですが、何となくずるずるとそのままにしてしまい、昨日やっと読み終わりました。 ネット上の著者インタビューでは、著者はこの本を書くに当たって所謂億万長者120人にインタビューしたそうです。実際、この本の中に出て…
『妙な話』 読書

『妙な話』

『妙な話』という題名どおり妙な話です。登場人物の僕と、神出鬼没の亡霊のように現れる赤帽が同一人物なのか? もし同一人物だとすれば僕は精神を病んでいるようにも思えるし、結末では僕がヒヤリとした心模様が描かれていて、どうにもちぐはぐな印象を受けます。 一節によると、著者はこの作品を書いた頃、既に精神を病…
『夜間飛行』 読書

『夜間飛行』

『星の王子様』作者であるサン=テグジュペリの作品、『夜間飛行』を読みました。 『星の王子様』はまえがきにもあるとおり、子供向けに書かれたものですが、実はものすごく深い内容です。何度読んでも新しい発見がある本です。登場する人々はそれぞれに憂いや悲しみ、時にいわれのない義務を背負っていたりします。見方に…