読書

金もかからず、なんだかチョットだけ良い自分になったような気にさせてくれること、それが読書ではないかと思います。

『ウーマンアローン』 読書

『ウーマンアローン』

作者の方のお名前は「廣川まさき」さんで、男っぽい名前なのですが実は女性です。 この本は、アラスカの大地に一つの村を作り上げた安田恭輔氏の功績に触れ、安田氏の作り上げた村に行くために作者自身がユーコン川を下って行く過程を描いたドキュメンタリーです。ユーコン川を下るその距離1500Kmをたった一人カヌー…
『火花』が芥川賞受賞 読書

『火花』が芥川賞受賞

『火花』が芥川賞受賞しましたね。正直驚きです。芥川賞というと、何となく難しくて難解で読んでるうちに自分のバカさ加減を自覚させられるような作品にしか与えられないのかと思っていましたので、とっても意外です。『火花』については、発売日に買って読んだのですが、すごくわかりやすい。感情移入もできるし、読後感も…
『花酔ひ』 読書

『花酔ひ』

ひょんな出会いから不倫の関係に陥ってしまう二組の夫婦を描いた小説ですが、この小説、結末が実に暗喩に満ちていていいです。 不倫の関係に陥ってしまう二組の夫婦を中心に話は進むのですが、ここにちょっとしたアクセントを加え、登場人物の一人である「麻子」の迷いに気づき言葉をかける「トキ江」の存在が実に光ってい…
『共喰い』 読書

『共喰い』

『共喰い』が芥川賞を受賞した時の著者田中慎弥氏の記者会見は今でも印象に残っています。「もらってやる」という少しすねたような言い方が何となく『共喰い』の主人公である少年の描写からにじみ出ているように感じます。 さて、この『共喰い』という本ですが、他に『第三世紀層の魚』と瀬戸内寂聴氏と田中氏の対談も収め…
坂口安吾の『白痴』 読書

坂口安吾の『白痴』

古い本というのは面白いもので、今だったら絶対に出版できないだろうと思われるものもあります。逆に竹内浩三氏の作品のように、発表当時はスミ塗りだらけで、現代だからこそ全てを読める作品というのもあります。しかし出版大国の日本で数十年の時を経て消え去っていない作品というのは存在価値が広く認められていると受け…
『ナイルパーチの女子会』 読書

『ナイルパーチの女子会』

主婦ブロガーの「おひょう」とその読者である「栄利子」の出会い、そして相互に誤解を重ねながら狂気に陥る。「栄利子」のストーカー被害に悩んでいた「おひょう」はふとしたことから自身がストーカーとなり、「栄利子」も職場の派遣社員から無理な要求を受け、そして実行しようとする。 そんな二人は、身近な血縁者との対…
『タクシー運転手のマル秘ヒソヒソ話』 読書

『タクシー運転手のマル秘ヒソヒソ話』

たまにはこのくらい軽い感じの本が読みたくなります。私はタクシーに乗るという習慣が無いのですが、なかなか面白い世界ですね。やはりお客様商売ですから、難しい面も沢山あるのだと思います。 さて、本書のような一時間ほどで読める肩の凝らない本というのは貴重だと思います。この本も購入時は100円でしたから、新聞…
『ハルモニア』 読書

『ハルモニア』

これって、オカルトなのか、ホラーなのか、ミステリーなのかジャンル分けが少し難しい本かも知れません。まあ、色々な要素が詰め込まれていると言えるのでしょうね。かなりの長編でありますが、倒述形式ですので何となく話の方向は最初から明かされています。また、これだけの長編でありながら登場人物はきれいに整理されて…
映画『雪国』 読書

映画『雪国』

1965年の映画ですから、制作から既に50年を経過した映画です。原作を読んで、この映画を見ると”えっ?”と思う場面があります。それは、原作では冒頭部分、1965年の映画では島村の二度目の越後湯澤行きの部分、「国境の長い・・・」の部分です。てっきり「こっきょう」と読むのだとばかり思っていたのですが、映…
『火花』 読書

『火花』

名作です。又吉直樹氏が本作を発表されたときは随分と話題になりましたが、話題に違わない名作です。若手芸人と、先輩芸人の出会いから再出発までを描いた作品ですが、心の機微が実に緻密に描かれています。特に、スパークスの解散ライブの場面は涙なしには読み進めることができませんでした。 所謂タレント本の類かと想像…