『苦役列車』 読書

『苦役列車』

映画化されたからという訳ではないのですが、西村賢太氏の『苦役列車』を読んでみました。恐らく主人公の北町貫太という名前は作者自身の名前から容易に連想できることから、作者自身の事を下敷きとして書かれた小説であることは容易に想像できます。 主人公の北町貫太は父親が起こした犯罪が切っ掛けとなり、住み慣れた場…
『天才』 読書

『天才』

『天才』という題名に惹かれて読んでみました。これまで恥ずかしながら石原慎太郎氏の著作は読んだことがありませんでした。『太陽の季節』も映画では見たことがあるものの、原作は読んでいません。普段の石原氏の言動から何となく難しい言い回しの多い難解な作品かと想像していたのですが、『天才』は実に痛快で余韻もある…
堀江貴文著『本音で生きる』 読書

堀江貴文著『本音で生きる』

堀江貴文氏の『本音で生きる』という本を読んでみました。ホリエモンこと堀江氏はとにかく話題に事欠かない人で、史上最年少で株式上場を果たし、数々の企業買収でその業容を拡大し、テレビ局買収に動き、プロ野球球団買収も画策しました。このような行動を世間は無謀と評し、一時は犯罪者として収監されました。しかし、普…
『残り全部バケーション』 読書

『残り全部バケーション』

タイトルに惹かれて読んでみました。伊坂幸太郎氏らしい作品です。溝口と岡田という二人のチンピラにまつわる物語です。ネタバレになるといけませんので、内容については割愛しますが、登場人物の気質や登場人物同士の絡み合い、そしてちょっとした仕掛け等、『ゴールデンスランバー』に何となく雰囲気が似ています。 ただ…
ブラックアウトしてしまいました サイト管理

ブラックアウトしてしまいました

このブログを動かしているサーバの使用料支払いを失念してしまい、一時的にアクセス不可となってしまいました。直ぐに気が付きましたので、半日程で復旧したのですが、これで3回目ですね。来年は気を付けなければ。…
『蛇を踏む』 読書

『蛇を踏む』

こういう小説をジャンル分けするとファンタジーとなるのだろうか。主人公がある日蛇を踏むところから物語は始まる。踏まれた蛇は主人公の母親と偽った人間の姿をして現れる。食事の支度をし、夜は蛇の姿に戻って天井に張り付いて眠る蛇との生活は何とも奇妙である。それにもまして、主人公の職場であるカナカナ堂という数珠…
『草枕』 読書

『草枕』

”智ちに働けば角かどが立つ。情じょうに棹さおさせば流される。意地を通とおせば窮屈きゅうくつだ。とかくに人の世は住みにくい。”という文から始まる広く知られた作品です。著者は文豪夏目漱石氏です。最晩年に書かれた『明暗』と比較するとかなり理屈っぽく、読者の事を案ずるよりも前に、作者自身の欲に従って書かれた…
『あの日』 読書

『あの日』

露悪的とは思いながらも、小保方晴子氏の著した『あの日』を読んでみました。 一言で言うならば、小保方氏は純粋だったのでしょう。純粋に実験を愛し、研究者としてずっと実験をしていたかったのでしょう。その思いは文面から痛切に感じられました。しかし、STAP細胞の発見により、その過程でボタンのかけ違いが生じて…
『風転』 読書

『風転』

花村萬月氏の作品は好きで、それなりに手に取ってきましたが、『風転』に関しては、文庫本になった時に購入し、上巻を読み終えたところで何故か挫折し、十年以上も読まずに放置してしましました。というのも、この作品は、上巻中巻下巻に分かれる大作で、その分量に圧倒されて途中で放棄してしまったんですね。 従って、主…
『対馬丸』 読書

『対馬丸』

大城立裕氏の『対馬丸』を読んでみました。対馬丸事件はおぼろげながら知ってはいたのですが、事件だけに着目すると上辺だけの遭難事件としか受け取れません。一方本書では、事件に至るきっかけとなった、旧日本軍が発した疎開を促す通達、そして通達を出すに至った当時の戦況が時系列で細かに書かれています。そして巻末に…