複数の手段を持つということ、そして時には縮退すること
今日、大変大きな地震がありました。津波が街に襲いかかる様子は、見ているだけでも恐ろしいものです。ほとんどすべての交通機関は止まり、地域によっては電力やガス・水道といったライフラインも止まりました。
最も困ったのは携帯電話が使えなかったことです。こんな緊急時だから最も利便性が高く普遍的な通信手段である携帯電話が使えない事は憂うべき事態です。最も助けを求めたい人、無事を知らせたい人が知らせることが叶わないのです。電話も今となってはライフラインです。絶対に止まってはならないものが止まってしまったのですから、その責任は重大です。
そんな中で、意外にも頼もしかったのはインターネットです。確かに一部のサイトへの接続は難しくなりましたが、電子メールやチャットそしてスカイプは通常通り使用することが出来ました。電話での連絡はできませんでしたが、インターネットを経由しての通信は幸い確保できたわけです。
インターネットの世界では、複数の接続ルートを持つことは常識です。一つのルートが遮断されても、別のルートに切り替えて接続を確保したり、一台のサーバが故障しても別のサーバがその機能を肩代わりしたりする事を冗長化と言います。そして、冗長化されたシステムを持つことは常識です。
もし、仮にサーバーの機能を維持すtることが難しくなった場合、性能を落としたり、優先度の低いサービスを切り離したりして、本当に大切な機能を最後まで動かし続けようにします。これを縮退と言います。
冗長化と縮退、この二つの事柄をプロならば必ず考え、確保するのです。しかし、残念ながら当たり前に行わなければならない冗長化と縮退を理解せず、準備しない者が殆どです。つまりプロではない人々が沢山いるのです。
今回の地震でも、そんな対策が取られていないサービスが意外と多いのには驚かされました。これぞプロの仕事というものをここしばらく見ていないような気がします。