インターネット黎明期の原始的なメール
最近、インターネットメールの配送が少し遅くなっています。恐らくクリスマス休暇前で、データ量が全体的に増えているためなのでしょう。
見る人が見れば色々と解ってしまうのですが、その証拠がコレです。
Received: by 10.220.153.130 with SMTP id k2cs22051vcw;
ツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀ Wed, 14 Dec 2011 16:07:26 -0800 (PST)
Received: by 10.68.119.162 with SMTP id kv2mr6017962pbb.72.1323907642108;
ツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀ Wed, 14 Dec 2011 16:07:22 -0800 (PST)
Return-Path: <ds-id000001343f0ab3f496.24578db8@mail201.smbc.co.jp>
Received: from mail102.smbc.co.jp (mail102.smbc.co.jp. [202.221.2.86])
ツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀ by mx.google.com with ESMTP id j7si8209971pbd.87.2011.12.14.16.07.21;
ツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀ Wed, 14 Dec 2011 16:07:22 -0800 (PST)
コレは、メールのヘッダーと呼ばれる部分に必ず記載されている情報で、どのような経路でメールがやって来たかが解ります。
しかし、遅いといっても、メールが送信されてから受信されるまで四秒しか掛かっていません。今でこそ、メールの伝送に「四秒も掛かってしまう」という表現を使ってしまいますが、インターネット黎明期にはメールが四秒で届くなんて夢のような話でした。
インターネット黎明期は、現在のような常時接続ではありませんでしたので、メールはUUCPという仕組みを使って一時間に一回とか、三十分に一回とか、定期的に接続先に電話を掛けて接続し、メールの交換をしていました。
そして、電話を掛けた先と、メールのあて先が一致したらそれでおしまいなのですが、一致しなかった場合には、更にその先の接続先に送られます。
つまり、A→B→C→D→・・・・・・・とメールのあて先と接続先が一致するまでバケツリレーのようにメールが順繰りに移動するのです。つまり、その当時のメールサーバーは、メールが自分宛かそうでないかだけを判断していました。これがSMTPという仕組みです。ですから、当時はメールが届くのに数時間掛かるのは当たり前でした。特に、海外宛てのメールは最大二日くらい掛かったものです。たとえるならばこんな感じです。
メール:「こちらはCさんのお宅ですか?」
サーバA:「知らないなあ、隣に行っておくれ」
メール:「失礼しました、では隣に送ってください」
サーバA:「あいよっ!」「でも、次の接続までxx分待ってね」
メール:「こちらはCさんのお宅ですか?」
サーバB:「違うよ、次をあたっておくれ」
メール:「えーっ、違うの・・・。すいませんけど隣に送ってください」
サーバB:「次の接続までチョッと待ってね」「おっ、時間だ、ほれっ!」
メール:「こちらはCさんのお宅ですか?」
サーバC:「おお、そうだよ、よく来たねえ」
メール:「ああ良かった、やっと着いた」
まあ、こんな具合です。
当時のインターネット(当時はインターネットという言葉すらなかったのだが)はとっても原始的で、何処と無く人間くさい仕組みでした。そして、サーバを通過する毎に、メールのヘッダーに何時、どのサーバを通過したのかが情報として追加されます。当時は、本文よりも長いヘッダーというのが当たり前でした。
その後、常時接続が当たり前になると、メールは直接あて先に送られるようになります。これがESMTPと呼ばれている仕組みです。