お前、頭悪いだろう

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一言で「頭が良い」といっても、一定の尺度があるわけではありませんので、あくまで主観的なものでしかないわけです。例えば、「××大学を主席で卒業した」といっても、単に暗記が上手く、要領が良かっただけかも知れません。そして、小さい子供への褒め言葉である「お利口さんだねえ」という言葉も、たまたま一言二言大人っぽい言葉を発するだけでお褒めの対象になるので、全くあてになりません。知能指数という尺度もあるにはありますが、あれとて訓練を積めば、それなりのスコアを取る事は誰でもできるわけで、意外にもあてにならないものです。
さて、一方で頭の悪い奴というのは確実に存在します。確たる尺度があるわけではないのですが、十人が十人、「あいつは○○だからねえ」と、口を揃える奴がいるものです。作家の原田宗典氏の『優しくって少しばか』に登場するパン屋のオヤジが頭の悪い人間の典型なのだとしたら、頭の悪い人間こそ愛される存在なのかも知れません。
件のパン屋のオヤジのモデルが実在するのかどうかは不明ですが、同じような人というのはある場所に沢山います。その典型がアメ横の魚屋ではないでしょうか。アメ横の魚屋の威勢の良い呼び声につられて品物を買ったとしましょう。その品物は、値札に書かれた値段とは無関係に1000円です。即決で買おうとすると、魚屋のオヤジは「これもつけて3000円にしておくよ」と甘く囁きます。値札に書かれた値段を合計すると、一万円近くにはなるでしょう。それが3000円(殆ど決まって3000円です)と聞いて、「じゃあ解った」というと、魚屋のオヤジ、すかさず「これもおまけしておくよ」といって別の商品をスッと忍ばせてくれます。これで殆どの場合、値札に書かれた値段の合計は一万円を超えることでしょう。すごく得をした気分で家に帰ってよくよく商品を見ると、酷く上げ底だったり、大トロと言われて買ったものが、赤身だったりして少しがっかりします。そんなセールストークに騙される私は最も頭が悪いのかも知れませんね。