風邪を召しました

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日本語の表現と言うのは随分と豊です。例えば、「みる」という言葉一つとっても、その意味は様々です。「見る」「観る」「診る」「看る」「視る」と、これだけの表現があり、同じ数かそれ以上の意味があります。
そして、忌み言葉と言うのはもっと豊です。例えば、妙なる女性がさりげなく「梨」を「ありのみ」と表現したりすると、どんなに育ちが良いのだろうと思います。そして、「はだし」と「すあし」のように微妙な違いを表す言葉が存在するのも日本語の妙でしょう。
さて、昨夜あたりからどうにも体調が優れず、どうやら風邪を引いてしまったようです。「風邪を引く」という言葉も、少し上品な言い回しにするなら、「風邪を召す」ということになるのでしょう。「召す」というとなんとなく風邪の菌がドバッと身体に入ったと言うよりも、ふとしたことで風邪の菌をまとってしまったという、仕方なく風邪で体調を崩してしまったと言うようなニュアンスがそこに含まれ、「まあ、そんな事もあるさ、お大事にね」という言葉を言外に漂わせているように感じます。
残念ながら私のそばにはそんな美しい日本語を操る人は皆無でありまして、そこは私の人徳の無さなのでしょう。