おいおい、基本的なことを忘れていないか?
また、痛ましい事故が起きました。関越自動車道で、ツアーバスとしてチャーターされた全長十二メートルの大型の観光バスが防音壁に衝突し、車体の大部分が切り裂かれるという事故です。この事故で、尊い人命が失われてしまいました。この事故の原因は、運転手の居眠り運転が原因とされていますが、これを防ぐフェイルセーフの仕組みが無かった事、そしてバスの車体が極めて弱かった事が被害を大きくしている事を忘れてはいけません。事故を起こしたバスは恐らく三菱のバスだと思うのですが、同社の製造するバスは他社のバスと比較しても構造上弱いです。最近のバスはモノコック構造といって、骨格となるフレームの上に架装していくのではなく、車体の外殻そのものが全体を支える構造となっています。衝突により外殻の一部が破壊されると、全体の強度が落ちてしまいます。例えるならばゆで卵の殻を一部破壊してあげると、後は簡単に殻を取り去る事ができるのと同じようなものです。車体を軽く作り、運動能力を高めながら燃費の向上を図る為に、モノコック構造は有効であるのですが、ひとたび事故を起こすと被害は大きくなります。特に三菱のバスは軽量化による燃費と運動性能の向上、そして重要保安部品であるブレーキの低容量化によるコストダウンを重視する傾向が強いのです。
そして、今回の事故のもう一つの原因は道路の構造です。視覚以外の方法で運転手に車線逸脱を知らせる手段が無かったのです。一部の道路では、車線の端に道路鋲が設けられており、振動を起こす事で運転手に車線逸脱を知らせるようになっています。
海外の道路では、道路鋲やバンプにより過剰な速度を出すことができない仕組みとしているケースが多く見られます。また、ドイツではガードレールは地中から徐々に立ち上がる構造となっており、ガードレールの端が車体に突き刺さる事が無いような構造となっています。
今回の事故で真っ先に非難の対象となるのは運転手でありバス会社です。しかし、危険なバスの製造者と事故を防ぐ為の適切な設備を設けなかった道路の設計を行った者にも責任があることを忘れてはいけません。