行き過ぎる夏にむけて

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久しぶりに温泉で一泊です。この宿は、ちょくちょく足を運んでおりましたが、さすがに夏休み期間中は全く予約が取れず、前回6月に来てから3ヶ月ぶりです。
露天風呂の出入り口にツバメの巣があり、前回来たときにはせっせと雛に餌を運ぶ親燕の姿を眺めていたのですが、ツバメの子らも既に巣立ち、親燕も旅立ってしまったようで、空になった巣の片隅でツバメの羽毛がかすかな風に揺れているだけでした。
空は既に秋の装いで、行く鳥たちも随分と高みを飛んでいます。季節の移ろいというものは時に思いがけず早くやってくるもので、あれほど盛っていた夏も夕闇が迫るころには秋の虫たちの鳴き声と共に帳を迎えるようになりました。あれほど嫌っていたはずの寝苦しい夏の暑さも、身を焼くほどに激しかった夏の日差しも今となっては愛おしく感じます。木々の緑もすっかり落ち着いた装いになり、気の早い木の葉は少しづつ色づきを見せ始めています。そして、むせ返るほどに匂い立った草木も今は微かに鼻腔をくすぐるにとどまっています。
そんな色々に露天の風呂に浸かりながら想いを巡らせるのが最近の楽しみです。