阿修羅にうるうる

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uid000067_20131225140040b2dd290f本日は国立博物館内にあるミュージアムシアターにやってきました。丁度今月から興福寺の阿修羅像が題材として扱われています。

もう10年ほど前になりますが、阿修羅像を見るために高速バスに乗って奈良まで足を運んだことがあります。八部衆の一である阿修羅像は、他の像と並んで興福寺の国宝館に展示されています。都心にあるピカピカの施設とは異なり、空調も照明も粗末なもので、このような環境に国宝を置いてよいものかと不安を感じるほどでした。

興福寺国宝館の阿修羅像は薄暗い展示室の中で、表面に埃の浮いたガラスケースの中に展示されていました。そんな、どちらかと言えば良くない環境の中でも、のびやかでややもすれば華奢とも言える体躯に憂いを含んだ表情を持つ頭部が絶妙なバランスを持って表されており、見方によっては禍々しいその姿にも関わらず見る者をぐっとひきつける物を持っています。サンスクリットのアそしてスーラを併せてアシュラという説もあり、生殺与奪を司る神、あるいは最高神である帝釈天に対し負けを承知の戦いを挑み続ける猛々しい神という側面もあります。

興福寺の阿修羅像は、仏の教えに従い、帝釈天との戦いを止め、仏に帰依するその決意の瞬間を写し取ったものとされます。そして、八部衆像を発願した光明皇后の心持をそのまま阿修羅像の表情として写し取ったものとも解釈されています。今は失われてしまった持物が無いからこそ、余計に表情が光っているようにも思えます。

美しい阿修羅像の映像と、それにまつわるエピソードを解りやすく説明していただきました。