完璧です

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本日は、中国玉器を目当てに東京国立博物館にやってきました。玉というのは、生命と富の象徴として中国では珍重されていました。玉は二つに大別されます。一方は硬玉でもう一方は軟玉です。書いて字の如く、硬玉は硬度が高く、翡翠とも呼ばれ、現在でも珍重されており、取引価格も高騰の一途を辿っています。もう一方の軟玉は産出量も多く、硬度が低いことから加工しやすいのですが、破損しやすいという欠点を持ち合わせています。中華街でお土産品として売られている玉器はほぼ間違いなく軟玉でしょう。

さて、写真に写っている円盤状の物は璧(へき)と呼ばれる玉器で、月と太陽の象徴であり、祭礼に使われたものと言われています。写真に写っている玉器は色合いから察するに鉄分を多く含んだ緑閃石と思われます。緑閃石であれば、いわゆる軟玉の一種です。したがって、材としての価値はさほどではありませんが、その見事な形状とほぼ無傷な状態は稀有な存在です。祭礼に使われる璧は権力の象徴でもあり、宝としての璧を敵国から奪い、脆く壊れやすい璧を完全な状態で自国に持ち帰ることは非常に難しい事でした。幾多の障害を乗り越えて完全な形で持ち帰られた璧を「完璧」と呼び、現在の完璧の語源となっています。