『失楽園』のモデル

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jogetsuan作家の渡辺淳一さんがお亡くなりになられたとのニュースが流れました。氏の代表作と言えば、流行語にもなった『失楽園』ではないでしょうか。私の記憶が確かならば、『失楽園』は作家の有島武郎氏の心中事件をモデルにした小説であったはずです。細かい部分はもちろん再構成されていますが、大まかな筋書きは実際にあった事件とほぼ同じで、私の知る限り、実際の事件はもっと凄惨で、ドロドロしたものだったと聞いています。『失楽園』では道行は冬ですが、実際の事件が起きた時期は季節が夏に移るころで、しかも発見が遅れたため、現場の惨状はとにかくひどいものだったそうです。そんな凄惨な事件の舞台となったのが、浄月庵という有島氏の別荘だったのですが、その浄月庵は現在軽井沢の塩沢湖近くに移築され、喫茶店として営業しています。

もう、十年も前になるでしょうか、タリアセンを訪れた帰りに件の喫茶店に立ち寄ったのですが、そんな事件の事を知らなければ今風に改装された古い建物としか感じられないでしょう。事実、そんな事件が起きた場所であることは何処にも記されていませんので、知る人ぞ知る場所なのでしょう。