悲しき哉 工業製品
2014年7月11日
2021年12月15日
大昔にコレクションしていた電卓を引っ張り出してみました。私が電卓のコレクションをしていたころは、黎明期とは言わないまでも、まだまだ発展途上で、カシオやシャープといった一流どころのメーカーの製品でも、その品質は今の製品とは比べようもなく悪いもので、そのくせ価格は随分と高いものでした。
そんな電卓コレクションの中で最も思い出深いものはと言えば、カシオのMQ11でしょう。全面アルミのボディーは当時は珍しくありませんでしたが、現在は見かけなくなりました。高級感たっぷりの外観で、ボタンはニュータッチキーと呼ばれた非常にストロークの短いキーで、触れるようにして使えるものでした。そして、MQシリーズの最大の特賞であるアラーム付き時計機能を内蔵していました。それから、当時流行のバイオリズム計算機能も搭載した電卓で、定価が1万2千円程度で、実売価格は7千円前後だったと記憶しています。
当時としては、ピッカピッカの高機能電卓だったのですが、久しぶりに電池を入れて動かしてみたのですが、液晶パネルが劣化してしまったようで、表示の判別が難しい状態でした。
工業製品というものは悲しいもので、使っても使わなくてもどんどん劣化します。それが最新の技術をつぎ込んだものであればなおさらの事驚くべき速さで劣化します。高価な品物でも廉価な物でも等しく劣化します。劣化してしまうならばむしろそんな工業製品を余計に持つことはやめて、必要なものを必要な時に必要なだけ持つのが賢いのかも知れません。
車の灰皿が一杯になったら車ごと買い替えるアラブの大富豪の笑い話がありますが、実はこれが最も賢い工業製品との付き合い方かも知れません。もし、劣化したら買い替える覚悟と財力が無いのであればそれは持つ資格が無いという事かも知れません。