お気に入りの噺 「三十石」

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fune_a最近、また落語にはまっています。お気に入りは、立川談志師匠の新作で、漢字の落語ではなくって、ひらがなの「らくご」です。新作ですから、現代の世相を表していて、面白いです。その一方で、最近は古典のほうにも食指を伸ばしています。そんな中で、とてもいい噺を見つけました。

題目は「三十石」または「三十石夢乃通道」で、徳川幕府が終焉を迎える頃まで淀川を行き来していた三十石船で大阪に戻る旅人の心模様を滑稽な話に仕立て上げたものです。

ぎゅうぎゅう詰めの船に乗せられるお惚け者が、後から載せてくれと船頭に頼み込む女を勝手に妙齢の女と思い込み、大阪に着くまでの道中や大阪に着いた後の顛末までを連れに話して聞かせたまでは良いのですが、実際に乗ってきたのは老婆だったという下げで噺は終わります。

そして、その話の終わった後、噺家は船頭の歌う櫓漕ぎ歌を歌います。時には、裏方さんや鳴り物が入ることもあります。最後に歌われる歌に噺家それぞれの持ち味がでて、また、ゆったりとした節回しで歌われる歌は実に聞いていて心持の良いものです。