『星々たち』

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hosiboshi『ホテルローヤル』以降、気になる存在である桜木紫乃氏の比較的最近の作品です。タイトルにもなっている”星々たち”というキーワードが数回顔を出すところが少々わざとらしさを感じますが、少しずつの接点を持ちながら絡み合う人と人の描写は正に著者の真骨頂でしょう。やはり、北海道が舞台となっているのですが、北国で生きる人々の強さ、背負った人生がきめ細やかに描かれています。
主人公たちがその肉親に対する希薄な関係性は私にとっては何故か心地よく感じます。

さて、どちらかというと暗く重たい作品なのですが、何故か心地よさを感じる作品というのは多いものです。共感はできるけれど同調は出来ない、その微妙なあり方が心地よさを感じさせるのかもしれません。

小説というものは多かれ少なかれ著者の実体験や取材を下敷きに編まれるものと考えています。『ホテルローヤル』はまさしく著者の生い立ちを基に書かれたものですが、この『星々たち』がどれほど創作を含んでいるのか、そして、下敷きになっている事実はどれほどのものなのでしょうか。こんな物語を作り出す作者ご本人が作品以上に気になります。