『奇策』
2014年12月24日
2021年12月14日
風野真知雄氏の『奇策』を読みました。『水の城』『幻の城』に続き、読ませてもらいました。
私が手にした三作品とも余韻がいいです。どれも甲乙つけがたい作品ですが三つの中から敢えて一つを挙げるならば『幻の城』です。『幻の城』は他の作品よりも創作の部分が多く、そのため、楽しめる部分が多いです。とはいっても、今回読みました『奇策』も冒頭に登場する松尾芭蕉が話好きの宿主から長い長い話を聞かされるという筋書きの創作は見事です。です。そして、結末はまた、旅の途中の芭蕉と空良に戻ります。
この作者、とにかく結末の作り方が実に上手いです。
そもそも私自身、時代物はあまり好きでは無く、あまり食指を伸ばしていませんでした。そんな時、映画『のぼうの城』が公開されたのを機に、映画の原作となった和田竜氏の『のぼうの城』を読み、同じく行田城の水攻めを題材とした風野真知雄氏の『水の城』を読んだのがきっかけで、同氏の作品を手に取るようになり、そして歴史物、時代物に少しだけハマったわけです。特に歴史ものについては題材にもよりますが、結末は読む前から明らかであるというある種の安心感があり、これはこれで結構楽しめると思いはじめました。