宮本輝の『錦繍』

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kinshuu学生時代に読んだ本を今読み返しています。それこそ何十年ぶりに読むものですから、恥ずかしながら内容はすっかり忘れていまして、特徴的な韻を上手く使った冒頭部分だけはおぼえていたのですが、その他はさっぱりでした。

忘れていたという事は、それだけ印象が薄かったという事かも知れません。当時かぶれていたジョージ・オーウェルの『1984』は今でもかなり細部まで覚えています。というよりも『1984』はあまりにもヘンテコで、結末に行くにしたがって支離滅裂になるところが印象として残っている要因かもしれません。

さて、話を『錦繍』に戻しますと、なんとなく臭い話です。登場人物の生活感に共感できませんし、その道徳観も理解の範囲を超えています。私が気が付いていないだけかも知れませんが、何となく私の周りには存在しないような人たちばかりで・・・。久しぶりに読み前してはみたものの・・・っていうかんじです。

そういえば、その当時何故かこの本のタイトルにもなっている錦繍という言葉が気に入ってしまいまして、とある写真展に『錦繍』と題した写真を出展しまして、結構な評価を頂きました。紅葉の時期に高尾山で撮ったスナップ写真だったのですが、自分で言うのもおこがましいですが、結構良く撮れていましたので出展しました。被写体になっていただいた通りすがりの方には了解はいただいていたのですが、住所を聞いておらず、結局何のお礼もできずしまいでした。