昔、電気工作少年だった私はある日テスターを買いに秋葉原に行きました。テスターとは、電圧やら電流やら抵抗やらを測るための道具です。単純な工作であればテスターは必要ないのですが、使用する部品のばらつきやら温度によって変わる特性に対応するために調整が必要な回路があります。そんな時にひつような道具がテスターです。

当時はデジタルテスターなんて存在しませんでしたので、針が右左に動いて値を示すアナログテスターばかりでした。店のおじさんにあらかた目的を告げると、トートバンドがいいよと言われたのを今でも覚えています。

トートバンドというのは、針を支えるための軸受が無く、物によってはらせん状のスプリングも存在しない極めて単純な構造でありながら、摺動部分が無いため故障や誤差も生じにくいという優れものでした。

そのテスターで、色々な物を測りました。家のコンセントや乾電池、そして自分自身の電気抵抗や、時には地面に流れている地電流や一円玉と１０円玉に水を灌ぐと生じる電流も測りました。懐かしい思い出です。

今ではデジタルテスターが幅を利かせるようになり、中国製の安価なものも簡単に手に入るようになりました。しかし、最初に買ったトートバンドのテスターは今でもちゃんと使えます。お店の人が言ったように丈夫で使いやすいテスターです。