電子書籍リーダーを好んで使っている理由の一つが、既に紙媒体では出版されていない書籍がデータとして用意されている事です。実はこれ、電子書籍リーダーが登場する前から「青空文庫」というサイトで実現されていました。しかし、「青空文庫」登場当時はパソコンの画面で読むか、一旦プリントアウトして読むしか方法は有りませんでした。さすがにパソコンを手軽に持ち歩けるわけもなく、結果「青空文庫」の存在は知っていましたし、その理念は大いに賛同するところですが、いかんせん使い勝手が悪いものでした。

kindleが発売され、koboが発売され、「青空文庫」の作品がこれらの電子ブックリーダー用に加工されはじめて漸く電子ブックリーダーを入手しました。そういった意味では先ずはパブリックドメインとなった作品を読むための道具でした。

実際電子ブックリーダーを使い始めると、”本が増えない”という実にすばらしい事に気が付き、新刊本も可能な限り電子書籍で買います。これすごく大切なことで、とにかく狭い家をこれ以上もので占領されないというのは素晴らしいことです。万一リーダーを破損したとしても、新しいリーダーを用意すれば、あとはデータをダウンロードするだけです。そんな利便性が気に入って紙の書籍を買う事は無くなってしまいました。昨日も、書籍販売サイトを物色していると、無料の本のコーナーに目が行きました。ほとんどは「青空文庫」に収められている作品ですが、中には若い作者の作品もあり、そもそも無料で作品を公開している方の作品もちらほら見かけました。その一つが米田淳一氏『北急最悪の日』という短編です。全く知らない作者だったのですが、調べてみるとプロの作家の方で、内容もなかなか楽しめる物でした。このような作品が無料若しくは安価に読める下地を作った電子書籍という仕組みが改めて好きになりました。