『芸能人はなぜ干されるのか』

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タイトルに惹かれて読んでみました。「そういえば最近見ないよね」といわれる芸能人の方というのは何となく頭にうかびます。そんな、いつの間にか見かけなくなった芸能人たちがマスコミから消えていく、その裏側で何が起きているのかを実名で暴露しています。

芸能の世界から干されていくその発端はギャラの取り分の低さや、長時間労働、奴隷契約とまで揶揄される芸能プロダクションへの所属契約があり、これらを打開するために所属芸能プロダクションから独立したり移籍しようとすれば、芸能プロダクションは持てるコネクションを駆使して芸能の世界で活動できないように手をまわします。これが干されるということです。

芸能プロダクションとしては、タレントを発掘し育てます。そして一部のタレントは莫大な利益を所属プロダクションにもたらします。稼げるタレントが逃げてしまえば莫大な利益を失うことになります。ですから芸能プロダクションはあらゆるコネクションや手段を使い、見せしめのように芸能人を干すのです。

本書では、海外の事例として米国の事情が記されています。米国もかつては日本の芸能界のように、タレントがプロダクションの食い物にされる状況でした。改善するために労働組合が結成され、法整備も進みました。そして、エージェントと呼ばれる仕事が生まれました。エージェントは法律で定められた金額でタレントを売り込み、契約に同席し契約内容を精査し助言します。エージェントは芸能事務所とは異なり、タレントと利害が一致しています。

本書を読んで、労働組合の無い世界がいかに不健全かを思い知らされます。そして、業界全体が後ろ暗い暗黙のルールに支配されていることも。そんな業界だから反社も跋扈しています。

華やかに見える芸能界も、裏側から見てみるとなんともドロドロとした嫌な世界なんですね。