風野真知雄氏の『奇策』を読んでみました。副題「北の関ヶ原・福島城松川の合戦」の通り、関ヶ原の戦いで勝利を収めた徳川家康の勢いを借りて、西軍に加担していた上杉氏を伊達政宗が攻めた、松川の合戦を描いた作品です。本庄繁長は過去に上杉謙信を裏切ったこともあり、伊達政宗は密使を使い本庄繁長に伊達方への寝返りを促します。のらりくらりと明確な返事をしない繁長に業を煮やした伊達の草の者（密使）は、繁長の息子重長の篭絡に掛かります。繁長の草の者矢源太は、重長が戦の準備を進める大森城で、重長が伊達方の草の者と密かに書簡を取り交わしているのを見てしまいます。重長は父繁長を裏切るのか？そして、この戦の行方は・・・。

戦国時代の武将たちが戦を有利に進めるために、草の者を使った情報戦を繰り広げる様が手に汗握る展開を見せてくれます。本庄繁長の”奇策”によって戦は思わぬ展開を見せます。かなり面白い作品です。