例のD級アンプがなかなか良かった

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一週間ほど前に使い始めた492円の中華D級アンプですが、最近「コレなかなかいいじゃん」と思えるようになってきました。初めて使ったD級アンプですが、所謂アナログアンプと違って、ノイズが全くありません。アナログアンプだと、ボリュームを大きくするにつれて”サーッ”というノイズが聞こえてきます。このノイズはアンプの価格に逆比例するように感じます。つまり安いアンプはノイズが多くて高いアンプはノイズが少ないように感じます。

一方、今回買ったD級アンプは492円という低価格品の割にノイズが全くありません。この感覚は、若かりし頃始めてCDに触れた時の驚きと似ています。プレイボタンを押した途端に無音からいきなり音が出る、あの感じです。それまではレコードとかカセットテープが主な音楽再生環境でしたから、先ずは僅かなノイズがあって、次の瞬間音が出る感じでした。

CDが登場し、パソコンの高性能化が進んでくるとCDから読み取った音楽データをWAVやADPCM等のデジタルデータにして聞くことがポツリポツリと始まりました。そしてMP3という音楽データを圧縮する仕組みが世に出て、当初は権利の問題があって個人でエンコードすることはありませんでしたが、LAMEというエンコーダーのソースプログラム(実行形式のアプリは権利に抵触するようでした)が出回り始めました。当時はLinuxという無料のOSも出回り始めて、LinuxをインストールしたPC上でLAMEをコンパイルしてMP3のエンコードをしていました。

そしてMPMANというMP3プレーヤーも販売され、フィリップスからMP3のデータを書き込んだCDを再生できるポータブルCDプレーヤーも販売されました。このころは、メモリー容量も16~64MBくらい、CDに記録する場合もCDの容量は640~720MBくらいでした。この当時のMP3のビットレートは128Kbpsが主流でしたが、ここ数年は320Kbpsが主流で、非可逆圧縮のFARCも普通に使われるようになってきました。こうなると一曲のデータサイズも数十MBは当たり前になってきています。今でも手許にあるMP3プレーヤー、iRiver T190は128KbpsのMP3ならばアルバム数枚分格納できましたが、久しぶりに使ってみたら、アルバム1枚分も入れることができなかったことに時代の流れを感じました。

より高いビットレートが使われるようになって、記録可能な周波数帯域も上は20KHzを超えてきています。もうすぐCDもオールドメディアになり、楽曲データはメディアの縛りがないネット上のデータに収束するのかも知れません。私もここ10年ほどはCDを購入することは無くなり、専らダウンロードサイトでデータを購入するようになりました。

6年ほど前に今の家に引っ越すときに、オーディオシステムを全て廃棄して今に至るわけですが、492円の中華アンプに、1700円で買った中古のスピーカーを繋いで聞いていますが、その音に満足している自分を不思議に感じています。その昔のオーディオブームに乗せられて、少しでも良い音を求めて散財したものです。そんなオーディオブームも少しずつオカルトチックな事柄が顔を出すようになりました。CDの外周部分に緑色のポスカを塗ると音が良くなるとか、CDにスクワランを薄く塗ると音が良くなる、スピーカーの下に真鍮の円盤を挟むとよい、電源ケーブルをLC-OFCケーブルに取り換える、地中に埋めたアース棒とアンプの外板を電線でつなぐ・・・等々。

結局良い音を求めてCDにスクワランを塗り、緑のポスカを塗りましたが結局私には違いが判りませんでした。そんなオカルトに付き合うのが段々と嫌になってオーディオの世界から遠ざかるようになりました。そして今、またオカルトが近づいてきています。オペアンプは○○が良いとかD級アンプは音に深みがないとか。オペアンプは結局巷間言われている程の差はないというのが私の結論です。ただし、オペアンプはモノによって動作電圧が違いますので、電源の種類によって使い分けることはあります。D級アンプの場合には、オシロスコープを持ち出してノイズを比較されている方が多いのですが、オシロスコープよりも自分の感覚に忠実でありたいと私は心がけています。