競合は終わって融合へと進むのか?
ユニクロの店頭に”オンラインストアなら店頭にない商品が購入できます。”というパネルが置かれるようになりました。店舗の運営部門とオンラインストアの運営部門が競争していたらこういうことはしないでしょう。店舗とオンラインストアを補完関係にして、グロスで売り上げを伸ばしていこうという戦略なのでしょう。
こういう補完関係はかなり古くからあって、少し大きな商店街なら八百屋の三件先が別の八百屋なんていうことは良くあって、互いにより良い商品を仕入れるように努力したり、より新鮮に見えるように照明を工夫したりすることで活気が生まれたものです。最近だったらイトーヨーカドーの隣に西友があるようなものです。コンビニなんかもそうでしょう。セブンの隣にローソンという景色はそれほど珍しくありません。コンビニの場合は商品の値引き販売ができないので、プライベートブランドを増やすことで、単純に値段だけでの比較がやりにくくして競合を避けるようになっています。
そして、ポイントでの囲い込みがこれに加わります。セブンとローソンが並んでいたら、pontaカードを持っている人はローソンに入る可能性は高くなるでしょう。しかし最近はTポイントはちょっと軟調のように見えます。Tポイントオンリーだったファミマに楽天ポイントとdポイントが乗り込んできて、すかいらーくグループも元々はTポイントオンリーから楽天ポイントとdポイントが付与されるようになりました。この点を見ても、ポイントについては既に飽和しているように感じています。そろそろ淘汰が始まるような予感がします。これまでTポイントの機能がついていたYahoo!カードも2022年4月からPayPayカードと名を変え、Tポイントの機能は無くなって、代わりにPayPayボーナスがカード利用額に応じて付与されるようになります。
Tポイントはポイントの付与率が低いため段々と勢いを失ってきたように思います。後発のdポイントの勢いがとにかくすごい。楽天ポイントは必死にdポイントの後を追っているように思いますが、これから先は消耗戦になることでしょう。となると、脱落するのは自ずと楽天ポイントということになるのではないでしょうか。そして、衰弱しているTポイント追随するのはpontaのように思いますが、ponta陣営にはリクルートがいます。ホットペッパーから湯水のようにpontaポイントが流入しているので何とかやっていけている状況のように思えます。大きな後ろ盾がないTポイントの将来は何となく見えて気なのではないでしょうか。ポイントについては付与率が生命線ですから付与率を眺めていると盛衰が占えるはずです。
さて、Yahoo!陣営は名実共にPayPayに傾倒していきます。そしてその焦点となるのはPayPayボーナスでしょう。100億円あげちゃうキャンペーンには驚きましたが、キャンペーンは規模を小さくしながらも、資本力に物を言わせるやり方はしばらく継続するはずで、Tポイントと決別すると同時に何か仕掛けてくるのかな?と期待を持っています。スマホに表示されるバーコードやQRコードを使用して決済を行う所謂コード決済については、いつかPayPayに集約されることでしょう。すでにORIGAMIは姿を消しましたし、楽天Payも精彩を欠いています(というか使いずらい)。今後はPayPayとPayPayカードが相互に補完しあうようなサービス展開がキーとなるでしょう。冒頭のユニクロのように、二つのサービスが競合するのではなく、融合しなければ衰退していくはずです。