希少なパッケージのオペアンプを使う

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njm4580lを購入してみた

njm4580lは、DIPパッケージのnjm4580dのSIPパッケージ版です。オペアンプといえば、4つのピンが二列に並んだDIPパッケージが一般的です。しかし、今回あえてSIPパッケージのオペアンプを購入してみました。

なぜ、SIPパッケージのオペアンプを見かけなくなったのか

今回、実際にSIPのオペアンプを使って分かったことがあります。それは、実装の不安定さです。足が一列しかありませんので、基板の穴に押し込んでも、左右に傾いてしまいます。そのため、今回も養生テープで固定してから、はんだ付けをしなければなりませんでした。作業性は悪いです。そもそも、マスプロダクトの製品であれば、部品は表面実装ですから、時代遅れもいいところです。

でも、良いところもある

SIPのオペアンプを使って分かった、良いところもあります。それは、省スペースです。

SIPパッケージのnjm4580lを使うと、信号増幅部分(オペアンプとプッシュプル回路)は、穴あき基板5列に納まります。
信号増幅部分 ー オペアンプ+プッシュプル回路

今回作ったヘッドホンアンプの信号増幅部分です。また、ここにはオペアンプが担当する電圧増幅回路。そして、トランジスタで組んだ電力増幅回路が収まっています。とてもコンパクトです。

消えゆく(はずの)SIPパッケージを使った回路が完成です

恐らく、消えゆくであろうnjm4580lを使ったヘッドホンアンプが完成しました。気持ち良いくらい基板の上はスカスカです。
5センチ×7センチの基板がスカスカです

今回は、部品配置をかなり練り込みました。そして、その結果、基板の上はスカスカです。また、最近気に入っている、抵抗の立て置きをこの回路でもやってみました。一列にビシッと並んだ抵抗がかっこいい(とおもっている)です。

別の角度からも見てみましょう。

基板の上はスカスカですが、部品がコンパクトに、そして、列をなしているのがかっこいいと思うのですが・・・。
部品が整然と並んでいてかっこいいと思うのですが・・・

もちろん、自己満足ではありますが、自分なりに検討を重ねて作り上げた部品配置です。しかし、かっこいいです。また、中央の空間も、なんかいいです。

性能試験もしてみました

せっかく作ったヘッドホンアンプです。いつものようにステップ応答を見てみましょう。

いつものように20kHzの矩形波を入力してみました。
20kHzの矩形波

いつものように、20kHzの矩形波を入力してみました。入力信号は水色、出力信号は黄色です。少しオーバーシュートが見られます。しかし、可聴域をはるかに超えた周波数です。したがって、聴感上の問題はなさそうです。

ちなみに、入手したnjm4580lが偽物かどうか確認するために、スルーレートも計測してみました。

njm4580lのスルーレートを計測してみました。4.5V/μsでした。データシート上は5V/μsですから、その差0.5Vは誤差だと思います。本物だと思います。
スルーレートの計測

一応、真贋を判断するため、スルーレートの計測をしてみました。結果は、4.5V/μsでした。データシートの記載では5V/μsです。0.5Vの差がありますが、これは測定上の誤差でしょう。そして、チップ表面の型番の表記はレーザー刻印ではなく印刷でした。これらを合わせて間違いなく本物です。

njm4580の良さ

データシートにも書かれているとおり、njm4580はオーディオ用として開発されたオペアンプです。そして、このnjm4580がら派生した高級オペアンプmusesシリーズがあります。また、そこそこ高級なオーディオ機器のヘッドホン出力回路に使われていることが多いようです。しかし、スペックだけを見ると、正直パッとしない印象です。また、所謂マニアの世界ではあまり良い評判を聞きません。しかし、今一度先入観無しで使ってみてほしいオペアンプです。結構いいですから。