オペアンプtl072を秋月で買う

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オペアンプtl072を国内のお店、秋月電子通商で買いました。これまで、専らアリエクで買っていたのですが、偽物だらけで辟易としていました。ですから、国内の信頼のおけるお店、秋月で買ってみました。

懐かしい秋月電子通商

秋月電子通商(昔は信越電器と称していたと思います。)は、秋葉原で電子部品を扱うお店です。その昔、小学生の頃に、部品を買いに行ったものです。しかし、最近は秋葉原に行くこともなく、また、秋月に行くこともありませんでした。そして、たまたまネット検索をして、通販を行っていることを知りました。通販サイトにアクセスしてみたところ、商品も豊富です。そこで、偽物ばかりつかまされていたオペアンプtl072を買ってみることにしました。ただし、秋月さんはTI社の正規代理店ではないようで、セカンドソース品のtl072の販売でした。その代わり、お値段は一個30円と、お手頃でした。

秋月からオペアンプtl072が届きました

注文の翌日に商品は発送されました。そして、その翌日に到着です。さすが、国内のお店です。梱包も適切で、納品書も添付されています。

秋月からオペアンプtl072他が届きました。発送は迅速で、梱包もアリエクとは比べ物にならないくらい丁寧でした。
秋月から届いた商品 – 今回はオペアンプばかり買いました

今回の目玉、オペアンプtl072

これまでアリエクで買ったオペアンプtl072は全部、例外なく偽物でした。しかし、今度買ったものはセカンドソースとはいえ、本物に間違いないはずです。では、届いたオペアンプtl072を子細に見てみましょう。

きちんと導電性フォームに刺して送ってくれました。このあたりの細やかさもアリエクとの違いを感じます。
届いたオペアンプtl072はきちんと導電性フォームに刺した状態で送られてきました

チップ表面です。

チップ表面です。メーカー名ユニソニックテクノロジーの略称UTCが刻印されています。
チップ表面の型番はレーザー刻印でした

そして、チップ裏面です。

チップ裏面です。G02と記載されていました。
チップ裏面です G02という文字が読み取れます

UTC製オペアンプtl72のステップ応答

真贋を見極める必要は無いとは思いましたが、念のためステップ応答を見てみました。いつものように、試験用回路にtl072を組み込みました。そして、入力端子から20kHzの矩形波を入力し、出力波形を観測します。

いつも測定に使用している回路に今回購入したオペアンプtl072を設置しました。この回路、信号経路にキャパシタが無く、出力側にバッファがありますので、オペアンプの特性がダイレクトに出ます。
いつも測定用に使用している回路に購入したオペアンプtl072を設置しました
20kHz矩形波入力時のステップ応答です。
20kHz矩形波入力時のステップ応答

20kHzの矩形波を入力したときのステップ応答です。水色のラインが入力波形、黄色のラインが出力波形です。出力波形の立ち上がり部分にオーバーシュートが出ています。そして、tl072は位相補正回路を内蔵しているためでしょうか、JFET入力らしくない波形に見えます。むしろ、BJT入力のオペアンプのように見えます。

スルーレートの測定

せっかくですから、スルーレートも測定してみることにしました。横軸をぐっと拡大して、カーソルを入れて、時間当たりの電圧変化を測定してみました

スルーレートを算出するために、カーソルを入れ、時間と電圧の変化量を表示させました。
スルーレートを算出するため、カーソルを入れました 画像の左上に時間と電圧の変化量が表示されています

上の画像からスルーレートを算出したところ、スルーレートは9.66V/μsとなりました。しかし、この値は変です。tl072スルーレートは13V/μsのはずです。念のため、データシートを見てみました。すると、・・・

UTC製のオペアンプtl072のスルーレートは、TI製の製品とは異なるようです。
UTC社のtl072のスルーレートは10V/μsと記載されていました

念のため、UTC社のホームページでデータシートを参照しました。すると、スルーレートは標準で10V/μsと記載されていました。この値は、テキサスインスツルメンツ製tl072のスルーレート13V/μsとは異なっています。しかし、これが正解のようです。

セカンドソースだけど本物のtl072は優秀です

一通り測定が終わったので、実際にMP3デコーダーを接続して聞いてみました。こんな感じの簡易なセットアップです。

測定用の回路に音源としてMP3デコーダーをつないで、音出しをしてみました。
測定用の回路にMP3デコーダーとイヤホンを接続して聴いてみました

このオペアンプtl072は、楽器に接続するエフェクターに使用されていると聞きます。したがって、耳の肥えた人を満足させる性能を持っているのではないかと思います。実際に聴いてみると、全体的には一切の味付けの無い音です。ソースに忠実に増幅しているのでしょう。しかし、高音に、ほんの僅かではありますが艶が付け加えられているようにも感じます。しかし、これはステップ応答の波形にオーバーシュートが出ているのを見た心理的な効果でしょう。

そして、少し面白い実験をやってみました。それは、オペアンプtl072がどれくらい忠実に信号を増幅するのかを確認する実験です。100kHzの正弦波を入力し、その信号をどれくらい忠実に増幅できるかを見てみました。あえて、増幅率を1に調整して測定した結果が下の図です。

100kHzの正弦波を入力したときの波形です。入力信号と出力信号がぴたりと重なっています。
100kHzの正弦波入力時の波形

100kHzという、音声信号としては高すぎる信号を入力してみました。また、あえて増幅率を1に調整してみました。その結果、入力信号と出力信号がピタリと重なりました。つまり、入力信号を正確に増幅していることがわかります。以前、市販のヘッドホンアンプでも、同じような測定をしました。しかし、その時は信号の遅れが発生し、入力と出力のラインはずれていました。しかし、今回の測定では、入力と出力のズレはありません。つまり、tl072が正確な増幅を行う優秀なオペアンプであることが証明されたわけです。