ヘッドホンアンプを改造

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ヘッドホンアンプを改造しました。昨日、スイッチング歪を負帰還で消す実験をしました。しかし、残念ながらスイッチング歪を消すことはできませんでした。折角作ったヘッドホンアンプですから、電力増幅段のバイアス回路を改造してAB級アンプに作り変えました。

電力増幅段のバイアス回路を改造する

改造部分を最小限にするため、電源部分や電圧増幅段はそのまま使うことにしました。しかし、スイッチング歪出まくりの電力増幅段のバイアスだけを変更しました。バイアス電圧のかさ上げには、オーソドックスにダイオードを使用しました。変更後の回路図は以下のとおりです。

AB級ヘッドホンアンプ回路図
AB級ヘッドホンアンプ回路図

改造実施

出来上がったヘッドホンアンプがこれです。

改造後のヘッドホンアンプ(AB級動作)
改造後のヘッドホンアンプ(AB級動作)

今回改造したのは、電力増幅段のバイアス回路のみです。したがって、改造前の写真と比較すると、バイアス回路が加えられていることが解ると思います。

改造前のヘッドホンアンプ(B級動作)
改造前のヘッドホンアンプ(B級動作)

使用部品について

今回改造したヘッドホンアンプは、電圧増幅部にオペアンプTL072を使用しました。また、電力増幅部にはトランジスタ2N2222と2N2907をペアにして使用しました。

今回使用して部品は、気に入っている部品です。しかし、オペアンプTL072は出力部分に128Ωの抵抗が入っています。この抵抗によって、高い負荷をドライブするのは苦手です。したがって、このオペアンプで直接ヘッドホンを駆動するのは好ましくありません。そこで、トランジスタを使った電力増幅段を設けています。

使用したトランジスタ2N2222と2N2907は海外ではポピュラーなトランジスタです。コレクタ電流は最大800mA取れます。また、最大損失も500mWまで許容されます。したがって、ヘッドホンアンプの出力段としては十分な性能を持っています。安価で、入手性が良いのも気に入っているポイントです。

肝心の音は?

TL072と2N2222,2N2907の組み合わせはとても気に入っています。特にTL072の若干硬質な音は大好きです。そして、電力増幅段のトランジスタはエミッタフォロワを二つ繋げたプッシュプル構成としました。この構成は、一切の味付けがありません。したがって、TL072の弱点を補う動作に徹しています。したがって、2N2222+2N2907以外でも使えます。代替するなら、SS8050とSS8550のペアがお勧めです。これは、最大出力電流が1.5Aまで取れますので、更に余裕が出るでしょう。また、今回の回路は、危険を承知で、信号経路上にコンデンサを使用していません。これにより、DCから増幅することができます。また、上は実測値で300kHzくらいまでは振幅の低下はありません。周波数特性は呆れるほどフラットです。

音の押し出しの良さでは、NJM4558やNJM4580に軍配が上がります。しかし、硬質で透明感のある音が好みなら、TL072は一度使ってみてほしいです。毛嫌いしている人が結構いらっしゃるようですが、そんなに悪くないですよ。