113円のDACが最悪だった
113円のDACを買ってみたら、最悪の商品が届きました。この手のDACは以前も買ったことがあります。その時買ったものは、普通に使えていました。しかし、今回アリエク買ったものは、外観は同じですが、中身は全く別物でした。しかし、そのままゴミ箱行きは悔しかったので、何とか改造して、安全に使えるようにしました。
113円のDACはDCダダ漏れ
入手した113円のDACをPCにつなぎ、音を出してみました。しかし、音に違和感を感じました。その時の音の出方から何となく違和感の原因が想像できました。そして、DAC出力にテスターを当ててみると、案の定とんでもないことになっていました。
なんとテスターは1.4Vを表示していました。通常、出力は0Vとなるはずです。しかし、1.4Vを示しているということは、このDACはDC漏れを起こしています。
113円のDACをバラしてみたら・・・
113円のDACをバラしてみたら驚くべき状況でした。なんと、出力カップリングがありませんでした。つまり、DACチップから直接出力端子に信号が出ていました。勿論、ローパスフィルターもなければ、カップリングコンデンサもありません。これではDCがダダ漏れになるわけです。
捨てるのは悔しいから、カップリングコンデンサを付けてみた
113円のDACを分解し、出力端子からパターンを追ってみました。そして、何とかカップリングコンデンサを付けられそうな場所を見つけました。先ずは、既存のパターンを一部切り取り、カップリングコンデンサを割り込ませる場所を作りました。次に、はんだ付けする場所のフラックスを削り取りました。ここまでの作業はカッターナイフ一本で行いました。そして、狭いパターンに10μFのコンデンサをはんだ付けしました。
オシロを当てて波形チェック
カップリングコンデンサを付けた結果を確認するため、オシロを当てて波形を見てみました。先ずは矩形波です。
さすがに1Hzの矩形波は厳しいようです。しかし、20Hzくらいまで周波数を上げると、かなりまともな波形になります。次に、矩形波1kHzの出力波形を見てみましょう。
このDACのサンプリング周波数(48kHz)では、矩形波の再現は1kHzくらいが限界です。ここから上は、どんどん波形が乱れていきます。次に正弦波も見ていきましょう。
1Hzが大体-3dbポイントとなりました。エイヤで取り付けたカップリングコンデンサですが、良い感じです。
1kHzの正弦波は綺麗に再現されています。
113円のDACのサンプリング周波数48kHzの1/4にあたる12kHzの正弦波を出力させてみました。サンプリング周波数の1/4の周波数ですので、波形が4つの値で再現されているのが良く分かります。ローパスフィルタが入っていれば、より正弦波に近い波形になっているはずです。しかし、このカタガタを見ると、オーバーサンプリングはされておらず、ローパスフィルタも省略された粗悪なDACであることが良く分かります。
最後に三角波の再生をして、直線性を見てみましょう。
三角波は綺麗に再現されているように見えます。つまり、リニアリティーに問題はなさそうです。
こんないい加減なDACでも意外と使える
このDAC、出力はボロボロです。でも、実際に聴いてみると、不思議と違和感を感じません。恐らく、スピーカーの再生能力と耳の高周波性能によって、48kHzを超えるスイッチングノイズは聞こえないのでしょう。波形の乱れも測定器を当てれなければ分かりません。113円のDACは酷い代物でした。しかし、カップリングコンデンサをつけることで、ゴミ箱行きは免れました。