昔のオキニを再評価したら落胆しかなかった
昔のオキニを再評価してみました。契機は、このサイトのデータ欠落が見つかったからです。幸い、大元のデータは残っていました。しかし、最適化済のデータがガベージと認識されて消去されたため、表示できない状況になっています。したがって、大元のデータから、最適化済データを作り直せば復旧します。そして、復旧作業を進めていく中で、嘗て高評価したイヤホンの記事が目に留まりました。そして、そのイヤホンをもう一度評価してみたいと思い立ちました。
昔のオキニ、JBM MJ720という名のイヤホン
そのイヤホンは、JBM MJ720というイヤホンです。ネットで検索してみましたが、JBMというブランド自体が見つかりませんでした。
今回の再評価にあたっては、比較のためにKZ AS16を引っ張り出しました。KZ AS16はかなり古い機種ですが、現在でも販売されています。AS16は片側8個のバランスドアーマチュアドライバを詰め込んだイヤホンです。そもそもJBM MJ720とは価格も再生能力も桁違いで、比較するのはアンフェアです。しかし、そのフラットな音はリファレンスとして最適であると思い、あえて選びました。
比較対象のKZ AS16は万人向けではない
KZ AS16の使用頻度はかなり低いです。その理由は、特徴の無さと力強さの欠如です。最近のハイブリッドイヤホンのような、強烈な低音は出ません。また、周波数特性がフラットで、最近はやりのドンシャリイヤホンと比較するとカマボコに感じます。また、方チャンネルに8個ものドライバを詰め込んでいますので、ハウジングは重く大きいです。
そのため、慣れないと物足りなさや、違和感を感じます。実際にKZ AS16の良さを感じるには時間が必要です。
比較環境のセットアップ
比較に使用するセットアップは、デコーダーのRCA出力からの信号を、自作ヘッドホンアンプで増幅します。
昔のオキニ、JBM MJ720再評価の結果
遡ること8年前に購入したイヤホン、JBM MJ720から出てきた音は酷い音でした。恐らく、購入当時は低音の強さがもてはやされたのでしょう。とにかく、低音が強いです。しかし、低音と言っても本当の低音ではなく、中低音領域が強い印象です。中途半端な中低音域が強調された結果、音がダンゴになってしまっているような印象です。また、強調された中低音域の影響で、中音域のボーカルの解像度は低く、音像の定位はあやふやです。
ハイファイとは程遠い音です。このような音作りのイヤホンは、現在は無いと思います。8年の年月によるイヤホンのトレンドの変化を感じます。
比較対象のKZ AS16の評価結果
そもそも比較対象としてKZ AS16はふさわしくありません。しかし、特定の周波数の強調が少ないAS16は、味付けの無いリファレンスとして適当と思います。
同じ楽曲、同じデコーダー、同じアンプで比較してみました。その結果、改めてAS16のすばらしさに気づく結果となりました。強調される周波数帯域が無いため、中音域が強い、カマボコ型の周波数特性に感じます。しかし、その上質な中音域によって、特にボーカルの解像度が高められています。さらに、音像定位が高く、いわゆる口の小さなボーカルとなっています。ボーカルのサ行が刺さるような、荒っぽさは微塵もありません。この傾向は、中音域に限らず低音域から高音域までの全体に及んでいます。
既に旧式となったKZ AS16が、未だに継続販売されているのは、その素性の良さが評価されているからでしょう。
昔のオキニに引導を渡した楽曲
今回比較したJBM MJ720とKZ AS16の性能差が最も出た楽曲を紹介します。
2CELLOSのSCOREというアルバムの6曲目、Moon Riverという曲です。そもそも、2CELLOSのアルバムは、総じて録音レベルが高いです。しかも、ブーミーになりやすい帯域の音を多く含んでいます。そのため、再生が難しく、再生機器の差を顕にする楽曲だと思います。今回使用したJBM MJ720のような、低音を強調したイヤホンで再生すると音の輪郭が失われてしまいます。その一方でKZ AS16では、音の輪郭は失われず、音像も見事に定位しました。