ヘッドホンアンプを箱に入れる

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ヘッドホンアンプを箱に入れました。これまで作ってきたヘッドホンアンプは基板むき出しでした。しかし、部品むき出しでは使い勝手が良くありません。そこで、漸く満足のいくヘッドホンアンプができたのを機に、箱に入れることにしました。

箱に入れるために少しだけ変更

先日作ったヘッドホンアンプは、満足のいく出来栄えでした。しかし、箱に収めるにあたって、少しだけ回路を変更しました。また、収める箱の形状に合わせて、レイアウトの変更も行いました。

回路の変更点は二点です。一つ目は、入力抵抗の変更です。これはノイズを拾いにくくするための変更です。そして、二つ目の変更点は、バイアス回路のエミッタ抵抗の変更です。これについては、聴感上のひずみ感が最も少なくなる抵抗値に変更しました。しかし、これは個人的な感覚によるものです。実際に変更前後の出力波形を観察しても、顕著な変化は見られませんでした。

変更後の回路図 ー 図中のRgINPUT、R3、R4、R5、R6を変更
変更後の回路図 ー 図中のRgINPUT、R3、R4、R5、R6を変更

実態配線図も作りました

今回は、箱のサイズに合わせる必要があり、検討のために実態配線図を作りました。特に、電源部分のコンデンサについては、横倒し実装しなければならず、事前の確認が必要でした。

ヘッドホンアンプ実態配線図
ヘッドホンアンプ実態配線図

ヘッドホンジャック、ボリュームについては、基板に取り付けず、箱に取り付けます。そのため、必要な基盤のサイズを小さくできました。これまで使用してきた5×7センチのユニバーサル基板の半分のスペースに収まります。

箱の加工には手間取りました

収める箱は、100×60×25mmの樹脂製のものを用意しました。加工は入出力のヘッドホンジャックとボリュームを設置するための穴あけです。しかし、穴あけ用のドリルは持ち合わせておりません。そこで、リューターで下穴を開けて、ハンドリーマーで所定のサイズまで広げることにしました。

箱に納まったヘッドホンアンプ
箱に納まったヘッドホンアンプ
ヘッドホンアンプ内部
ヘッドホンアンプ内部
ヘッドホンアンプ 操作部分と配線
ヘッドホンアンプ 操作部分と配線

バッテリーは悩んだ末006P型に

このヘッドホンアンプは、持ち歩きも考慮し、バッテリー内蔵としました。使用バッテリーについては、単4電池8本使用で12V給電やリチウム電池+昇圧コンバータ等検討しました。過去には、昇圧コンバータを使用して、良好な結果も得ています。しかし、今回の回路は、3V程度でも動作します。また、電源電圧による音質の変化は感じられません。そこで、実装のしやすさと、今後の改造の余地を残すため、006P型の電池を電源としました。

なお、電池がケース内で動かないようにエプトシーラーを箱と蓋に貼り。電池を固定しました。

使い勝手は格段に良くなりました

素性の良さは既に確認済みのヘッドホンアンプです。周波数特性は呆れるほどフラットですし、スルーレートもオーディオ用としては十分です。つまり、音の良さはもちろん、消費電力も少ないヘッドホンアンプです。箱に収めたことで使いやすさも向上しました。もし、このヘッドホンアンプの弱点を挙げるなら、出力電力の小ささでしょう。最大でも80mW程しか出すことができません。この辺りは、追々解決したいと思います。

閑話休題1、改造時のシミュレーションで問題発覚

今回作成したヘッドホンアンプで、若干回路を変更しています。その目的の一つが、高調波歪みの抑制でした。しかし、回路を如何に弄っても、特に三次の高調波を抑制することができません。そこで、こんな回路を作ってみました。

交流電流源だけの回路で高調波歪みを測ってみた
交流電流源だけの回路で高調波歪みを測ってみた

ご覧のように、1kHzの交流電源だけの回路を作ってシミュレーションしてみました。その結果は・・・。

交流電源のFFT解析結果
交流電源のFFT解析結果

なんと驚いたことに、LTSpiceの交流電源は奇数次の高調波歪みを含んでいます。つまり、どれだけ回路をいじっても、信号源が高調波歪みを含んでいるので、無駄なのです。

これは、私の使い方が悪いのかも知れませんが、これまでの努力が無駄だったことが判りました。

閑話休題2、バイアス回路の名称が判明しました

以前、LT1364というオペアンプの等価回路を眺めて見つけたバイアス回路の名前が判りました。これまで、名称を知らなかったので”パクった回路”と呼んでいましたが、どうやら”ダイアモンドバッファ”又は”ダイアモンドフォロワ”と呼ぶらしいです。

ダイアモンドバッファ回路
ダイアモンドバッファ回路(Wikipediaより引用)