オシロスコープ付きテスター

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オシロスコープ付きテスターを買ってみました。これまで、小型のオシロスコープも持っていましたが、性能が低くあまり使用していませんでした。また、ベンチトップ型のオシロスコープは所有していました。しかし、ベンチトップ型は、セットアップが面倒でした。そこで、電池駆動ができて、持ち運びも容易なオシロスコープ付きテスターを購入しました。

オシロスコープ付きテスター開封

今回購入したのは、中国のANENGというメーカーのAOS02という製品です。ANENGというメーカーの製品はこれまでも使用してきました。安物の割には使い物になる印象の製品が多く揃っている印象です。今回購入したオシロスコープ付きテスターも安価で、購入時の価格は7000円程でした。しかし、最近更に安価になってきているようで、6000円台で販売しているお店もあります。

オシロスコープ付きテスターの外装箱
製品の写真が印刷された段ボール箱

解りやすい外装箱です。一目で中身が判ります。

ナイロン製のキャリングケースが添付します

段ボール箱を開けると、ナイロン製のキャリングケースが顔を出します。

オシロスコープ付きテスターの付属品と本体
オシロスコープ付きテスターは高コスパです

付属品は、オシロスコープ用のプロープ、熱電津、テスター用テストリード、USBケーブルです。USBケーブルは、内蔵電池の充電と、保存したデータをPCで取り出す際に使用します。

オシロスコープ付きテスターは高コスパです

オシロスコープの帯域幅は10MHzです。実際に波形を観察できる信号は帯域幅の一割くらいが目安です。したがって、このオシロスコープでは、1MHzくらいまでの信号を取り扱えます。オーディオ機器の測定には十分な性能と言ってよいでしょう。

テスターとしてのスペックは、10,000カウントとなっています。また、AC電圧はTrue RMS(真の実効値)表示となっています。しかし、カウント数も、True RMS表示も、私にはどうでもよい仕様です。カウント数が多いほど制度の高い測定ができます。しかし、2000カウントの安物のテスターでも精度としては十分だと思います。また、True RMSも私の使用目的では不要で、一般的な平均値表示で十分です。しかし、テスターとしては一般的に高級機を模した仕様であることに違いはありません。

True RMSを試す

私にとってはどうでもよいTrue RMS表示です。しかし、本当にTrue RMS表示になっているのか、試してみました。True RMS表示となっていないテスターの場合、波形によって測定値と実効値の差が大きくなります。波形毎のP-P(ピークトゥピーク)と実効値の関係は下図のようになります。

P-P値から実効値を求める計算式
P-P値から実効値を求める計算式

実際にファンクションジェネレーターで信号を作り、オシロスコープ付きテスターで測定します。測定結果が、上図の数式で求めた値と一致するか、確認をしてみました。

オシロスコープ付きテスターでのTrue RMS測定のセットアップ
測定のセットアップ

今回購入したオシロスコープ付きテスターには画面キャプチャーの機能があります。測定結果についてはキャプチャーした画面を張り付けておきます。測定は、P-P5V、1kHzの信号をファンクションジェネレーターで生成し、測定を行いました。先ずは矩形波です。計算上の実効値は、2.5Vです。

オシロスコープ付きテスターによる矩形波実効値測定結果
矩形波実効値測定結果

計算値2.5Vに対し、測定値は2.465Vでした。悪くない結果だと思います。

次に正弦波の測定を行いました。

オシロスコープ付きテスターによる正弦波実効値測定結果
正弦波実効値測定結果

計算上の実効値は、1.768Vです。それに対し、測定値は1.762Vでした。計算値にかなり近い値となっていました。次に三角波の測定を行いました。

オシロスコープ付きテスターによる三角波実効値測定結果
三角波実効値測定結果

計算値1.443Vに対し、測定値は1.446Vでした。いい感じです。

オシロスコープ機能を試す

オシロスコープは、他にもポータブルタイプとベンチトップタイプを持っています。しかし、ポータブルタイプは帯域が200kHzと、心もとない性能です。また、ベンチトップタイプは、セットアップが面倒です。そこで、オシロスコープ付きテスターの登場です。電池駆動ですから、セットアップは楽です。また、帯域も10MHzありますから、オーディオ用途であれば十分です。では、実際に信号を入れて測定してみましょう。

オシロスコープ付きテスターでの2MHz矩形波測定
2MHz矩形波

いきなり2MHzの矩形波を入力してみました。やはり、10MHz帯域のオシロスコープで2MHzの矩形波は厳しいようです。波形がかなり鈍っているのが解ります。

オシロスコープ付きテスターでの600kHz矩形波測定
600kHz矩形波

600kHzまで周波数を落とせば、波形はかなり正確に表示されます。このくらいの性能があれば、アンプの発振を見つけるには十分でしょう。

階段波の観察
階段波の観察
三角波の観察
三角波の観察
時間軸の拡大表示:SRの測定
時間軸の拡大表示:SRの測定

画面サイズが小さく、画素も粗いのですが、リニアリティーの確認はできそうです。しかし、カーソル表示ができませんので、SR(Slew Rate)の測定は目分量にならざるを得ません。

制約は多いが、機動性は抜群

オシロスコープ付きテスターを始めて使ってみました。テスターとしては、機能豊富で、精度も十分確保されていました。その一方で、オシロスコープとしては、正直制約が多いと感じました。しかし、コンパクトでバッテリー駆動もできる機動性は魅力です。また、電池駆動ですから、電源から回り込むノイズに悩まされることもありません。これだけの機能と性能を持った測定器が7000円程で購入できるのはありがたいです。