読書

金もかからず、なんだかチョットだけ良い自分になったような気にさせてくれること、それが読書ではないかと思います。

『蛇を踏む』 読書

『蛇を踏む』

こういう小説をジャンル分けするとファンタジーとなるのだろうか。主人公がある日蛇を踏むところから物語は始まる。踏まれた蛇は主人公の母親と偽った人間の姿をして現れる。食事の支度をし、夜は蛇の姿に戻って天井に張り付いて眠る蛇との生活は何とも奇妙である。それにもまして、主人公の職場であるカナカナ堂という数珠…
『草枕』 読書

『草枕』

”智ちに働けば角かどが立つ。情じょうに棹さおさせば流される。意地を通とおせば窮屈きゅうくつだ。とかくに人の世は住みにくい。”という文から始まる広く知られた作品です。著者は文豪夏目漱石氏です。最晩年に書かれた『明暗』と比較するとかなり理屈っぽく、読者の事を案ずるよりも前に、作者自身の欲に従って書かれた…
『あの日』 読書

『あの日』

露悪的とは思いながらも、小保方晴子氏の著した『あの日』を読んでみました。 一言で言うならば、小保方氏は純粋だったのでしょう。純粋に実験を愛し、研究者としてずっと実験をしていたかったのでしょう。その思いは文面から痛切に感じられました。しかし、STAP細胞の発見により、その過程でボタンのかけ違いが生じて…
『風転』 読書

『風転』

花村萬月氏の作品は好きで、それなりに手に取ってきましたが、『風転』に関しては、文庫本になった時に購入し、上巻を読み終えたところで何故か挫折し、十年以上も読まずに放置してしましました。というのも、この作品は、上巻中巻下巻に分かれる大作で、その分量に圧倒されて途中で放棄してしまったんですね。 従って、主…
『対馬丸』 読書

『対馬丸』

大城立裕氏の『対馬丸』を読んでみました。対馬丸事件はおぼろげながら知ってはいたのですが、事件だけに着目すると上辺だけの遭難事件としか受け取れません。一方本書では、事件に至るきっかけとなった、旧日本軍が発した疎開を促す通達、そして通達を出すに至った当時の戦況が時系列で細かに書かれています。そして巻末に…
『イグナシオ』 読書

『イグナシオ』

ヤクザもの等の暴力描写の多い作品は嫌いです。でも、何故か花村萬月氏の作品は好きです。今回読んでみた『イグナシオ』は、冒頭からバットで人を殴り殺す場面から始まります。 著者自身が明らかにしている事ですが、著者は幼くして父を亡くし、素行に問題が有るとして、養護施設に預けられます。『イグナシオ』の他にも『…
『きれぎれ』 読書

『きれぎれ』

一つ一つの料理は美味いが、全体ではなんだか解らなくなるコース料理ってありませんか?今回手に取った町田康氏の第123回芥川賞受賞作の『きれぎれ』もそんな感じです。 はっきり言いましょう、私はこのような小説は苦手です。書き出しは面白いし、その他の部分だって、数ページごとに限って言えば面白いんです。だけど…
アジア『罰当たり』旅行 読書

アジア『罰当たり』旅行

YouTubeにテレビ放送を録画した映像をアップロードすることは放送著作権の問題が有るとは思うのですが、見るだけならばそんなこと知った事ではありません。とくに目的も無くYouTubeにアップされた動画を見るのは殆ど日課となってしまいました。 そんな中で”クレイジージャーニー”というテレビ番組を見つけ…
『初夜』 読書

『初夜』

短編集が好きです。読み進むときに、「今日はこれを読もう」とか「今日はここまで」というふうに区切りをつけやすいんです。そもそも長編を読むのが苦手なので、軽い感じで読める短編集に手を出すことが多いです。 林真理子氏は、作家の中でもマスコミ露出度が高いとおもいます。その為でしょうか、顔と名前が直ぐに一致す…
『危ない世界一周旅行』 読書

『危ない世界一周旅行』

もともと、ブログの記事だったものを本にまとめた紀行文らしいです。ですから、一つのまとまった文章というよりは散文をまとめたものといった方が良いかもしれません。世界一周切符(そんなものが有る事すら知りませんでした)で世界中を旅をした、その過程を書いたものです。 それにしても、危ない・・・というタイトルど…