Dクラス動作とABクラス動作が切り替えられるアンプチップ

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今も気に入って使っているオーディオアンプIC PAM8403のデータシートを参照してみたら不穏な注意書きがありました。新規にPAM8403を使うような設計はメーカーとしてお勧めしていないそうです。こういった電子部品は、製造を近々止めるときにこのようなアナウンスをします。つまりPAM8403は近い将来製造を中止するのでしょう。

そして、PAM8403の後継としてPAM8406を使うようにしてほしい旨記載されていました。

PAM8403はディスコン(製造終了)のようです。後継はPAM8406とのこと。

PAM8406のデータシートを参照してみて気になる記載がありました。

ALTERNATIVE 5W STEREO AUDIO AMPLIFIER? ALTERNATIVEってどういうことなのでしょうか?

PAM8406がちょっと面白そうです。パッケージサイズはPAM8403と同じ、ピンアサインも一か所を除いてPAM8403と一緒です。違っているピンは一か所だけで、PAM8403ではNCとなっていたピンがPAM8406ではMODEとなっています。なんとこのピンをHIにするとDクラス動作になって、LOWにするとABクラス動作になるとのことです。

差動入力アンプをコンパレーター動作にすればDクラス、負帰還にすればABクラスになるとは思いますが、これをやっちゃうところが面白いですね。世の中には面白いことをする人がいるもので、タイマーICのNE555を使ってDクラスアンプを作っている方もいるようです。三角波発生器とコンパレーターがあればPWM変調型のDクラスアンプができるはずですのでね。

AliexpressでPAM8406を使用したアンプモジュールを探してみたのですが、まだちょっとお高めですね。逆にPAM8403は投げ売りされています。PAM8406は最大出力3Wとなっていますが、これは2Ω負荷の時の値です。8ΩだとPAM8403とほぼ同じ出力ですし、今売られているPAN8406を使用したモジュールはDクラス動作に固定されているようですので、いま入手するならPAM8403が良いのではないでしょうか。

それから、PAM8403に限らずDクラスアンプは(一部を除き)ヘッドホンアンプとしては使えませんのでご注意ください。Dクラスアンプの場合、スピーカー出力端子の+とー端子の出力が反転することがありますので、左右チャンネルのマイナス端子どうしを接続すると短絡状態となることがあります。(左右チャンネルのマイナス端子が別になっているバランス接続のヘッドホンならDクラスアンプでも大丈夫です。)

そういえば、その昔疑似サラウンドというのが流行ったことがあります。これはステレオアンプの左右の+端子にリアスピーカーを接続することで、前チャンネルの差分を後ろのスピーカーから出力するやり方ですが、これをバランスアンプやると保護回路が働いてストライキをするアンプがありました。バランスアンプとかXバランスアンプがこれにあたるのですが、変なものが流行ったものです。オーディオ評論家で、数々のオリジナルスピーカーを作った故長岡鉄男さんがSTEREOという雑誌で疑似サラウンドを紹介していたと記憶しています。