いらっしゃいまし

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小学生のころから、随分と長いこと通っていた床屋がありました。ヨコヤマという床屋で、ドアを開けて床屋の中に入ると、小柄な親父さんが「いらっしゃいまし」と声をかけてくれました。「いらっしゃいませ」ではなくて「いらっしゃいまし」と。それも、大きすぎず小さすぎない大きさの声で、やや抑揚を抑えた「いらっしゃいまし」は子供だった自分の耳にも実に心地よかった。「いらっしゃいまし」という言葉は職人の気概がこもっているようで、只者ではないという雰囲気を醸しだしていました。その床屋には、いつの間にか通うのをやめ、そして店を畳んでしまいました。

店を畳んでから随分の年月になりますが、未だにその店は残っており、色あせたプラスチックの庇には「ヨコヤマ」と書いてあります。店を開けていたころは店先に沢山置いてあった植木鉢はきれいに片づけられていました。

この続きは、いずれ「Take a walk」で紹介しましょう。