奇を以って正と成す

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今日は、青山杉雨氏の展覧会を見てきました。特に中国・台湾の篆書や隷書への造詣が深く、そのコレクションや研究に多くの貢献をされた先生です。その先生がよりどころとしていた言葉が「奇を以って正と成す」でした。この言葉は、そもそもは兵法の一つであって奇策こそが勝利を齎すという意味を持ちます。この部分だけを捉えれば、奇策を打ち出すことこそが正と捕らえられがちですが、孫氏の兵法では「正を以て合い、奇を以て勝つ」とされています。つまり、基本を忠実に守って向かい、奇策を以って勝つということです。別の言い方をすれば基本が出来ていない者は奇策を打ち出すことが出来ないということです。先の杉雨先生も実に多くの古典を研究され、沢山の手本を残されています。百を真似、一を生み出すような作風でした。つまり、これこそが王道ではないかと思います。そんな先生が病に冒されながら揮毫した書が「書鬼」でした。病床に有っても書に対する情熱を失わなかった生き様は見事です