いかん、麻痺しているぞ

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東電の福島第一原子力発電所は毎日のように汚染水を垂れ流し、汚染水タンクからもダダ漏れで、新聞記事によると、10兆ベクレルの放射性ストロンチウムトリチウムがすでに海洋に流れ出てしまっているとか。もう、なにがなんだかわからなくって、汚染水が漏れたところで、事故当初ほどは驚かなくって、慣れというのは恐ろしいものだとつくづく思うものです。

恥ずかしながら、私は学生時代に実験で放射性物質を取り扱ったり、放射線透過写真の撮影をするために、放射性物質取扱主任とエックス線ガンマ線写真撮影技師の免許を取りました。随分と昔にとった資格ですから、それこそ放射線の量を図る単位は今でこそシーベルトですが、当時はレムという単位を使っていました。もちろん、その資格は放射性物質を安全に取り扱うための資格ですから、放射線の危険性はいやというほど叩き込まれるわけです。

機器の校正に使われる標準線源というのは知らない人が見ればきれいな金属片にしか見えないものもありまして、過去には標準線源が管理不行き届きで廃棄されてしまい、それを見つけた子供がポケットに入れて持ち帰って被ばくしたという事故がありました。知らないというのは怖いものです。標準線源ならばそれほど強い放射線を出しているわけではありませんので、極端に長時間触れているようなことがなければ健康上の被害はないのですが、恐ろしいのはガンマ線写真撮影用の線源です。溶接部分の品質検査に使われるのですが、これはかなり強力な線源です。しかも悪いことに撮影用線源の格納容器から特殊なキャッチが先端についた柔軟性のある金属のケーブルで出し入れするのですが、慎重にやらないとポロリと外れてしまうことがあるのです。恐ろしや。