素晴らしきパブリックドメインの世界
2014年6月4日
2021年12月15日
パブリックドメインという言葉があります。著作物や特許などで、知的財産権が無かったり、放棄されていたり、消滅してしまったものを指します。日本語では無理やり「公有」という言葉が割り当てられています。「青空文庫」というプロジェクトでは、著作権保護期間が狩猟した著作物をボランティアの手でデジタルデータ化し、広く一般に公開しています。素晴らしいプロジェクトだと思います。最近では俗にミッキーマウス法とも呼ばれている米国の著作権法で定められた保護期間をTPPの一環として日本にも認めさせるべく圧力がかかっているようです。
ミッキーマウス法と呼ばれる所以は、ミッキーマウスの著作権・商標件が切れそうになるとスルリと保護期間が延びる為にそのように言われています。これだけを取り上げると、ウォルトディズニー財団の政治的な力で法律を無理やり改正させているように見えます。
ただ、一定の期間後に著作物を公有の財産にするという考えかたは素晴らしいものと思います。古い浮世絵の図案がそこここで引用され、改変され、そして広く浸透することで、オリジナルの価値そのものが上昇するということもありうるはずです。市井は写しを鑑賞し、資金力を持った篤志家がオリジナルを買い集める。それで良いのではないかと思います。
青空文庫に立ち還ってみますと、公開されている著作物は著作権保護期間が過ぎてしまったものが大部分です。そもそも、著作権が切れた著作物の多くは、出版すらされず、書店に並んでいないものが殆どです。そうやって忘れ去られ消え去っていく著作物をボランティアの手でデジタル化し、広く公開していくことで、著作物そのものに再度息吹を吹き込むことの方が書作者の意図にかなっていると思います。