国立博物館に行ってきました。他の用事が無い土曜日は大抵ここかその近くの西洋美術館にいます。私にとってとても落ち着ける場所です。国立博物館は巨大な施設ですので、なかなか全部を観るという事は難しいのですが、私の場合には特別展は別として、特に目的を決めずに、何となく眺めて回るのが好きです。いくつもの建物から構成されている博物館ですがその中でも特に好きなのがこの東洋館（アジアンギャラリー）です。博物館の中でも人気の無い展示館なのでしょうか、とにかく人がいません。視界のなかに全く人影が無い瞬間も珍しくありません。そして、空調の音以外はとにかく無音です。私が気に入っている東洋館のもう一つの魅力はその建物です。耐震工事と併せて行われたレイアウト変更で少し様子が変ってしまいましたが、大きな吹き抜けと、特徴的なスキップフロアの組み合わせで、視界が広く取られています。勿論展示物も魅力的で、特に地下に展示されているクメールの彫刻、特にアプサラスのレリーフはその躍動感と生命力にあふれた表現が見事です。

そういえば、娘が生まれたその日もここにいたことを思い出しました。外の灼熱の暑さを避け、この静謐な場所で誕生の知らせを受けました。