『星々の舟』

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boatof stars村山由佳著の『星々の舟』を読みました。連作短編という形式の本なのでしょう。家族のそれぞれが問題を抱え、それに対してそれぞれの答えを出すといった内容です。

最初に登場する暁は、その章では答えを出さないのですが、重之の視点で描かれる最終章でしっかりと暁は答えを出します。そういった意味ではモヤモヤ感は無く実に清々しい結末とも言えますし、何となく落ち着くべきところに落ち着くという予定調和的な結末ともいえるかも知れません。

物語としては面白いですし、人物描写も見事です。特に最終章で描かれる戦時下の物語はどれだけ史実を正しく描いているかはわかりませんが、胸苦しさを覚える程の描写です。見事な作品と思います。