『パラレル』

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パラレルラマチックな展開が無い、ユルいかんじが持ち味の作品です。どこにでもある、だれにでもあるような日常が小気味よく描かれている長嶋有氏の作品『パラレル』ですが、映画『ジャージの二人』に触発されて購入しました。どことなく『ジャージの二人』の後日談のような内容です。

長嶋氏の作品は初めて読んだのですが、会話の部分の人称が偶に不明確になることが有って、文体的にはちょっと苦手です。しかし、抑揚のあまりない話運びは読んでいて肩が凝りません。読んでいてホッとする作品です。

失業中の主人公七郎、別れた元妻、キャバクラ好きの津田、津田の家に居候する七郎の前に突然訪れる青(あおい)、少ない登場人物それぞれが非常に魅力的に描写されています。そんな人たちが紡ぐ、どこにでもあるような日常が淡々と描かれた佳作です。